クロサワコウタロウ『珍夜特急 2nd season 9　アルゼンチン』

作者: クロサワコウタロウ
出版社/メーカー: クロサワレタリング
発売日: 2014/04/29
メディア: Kindle版
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ユーラシア大陸（出発はインド）を日本から持ち込んだバイクで横断した作者が、今度はアメリカ大陸を南北に縦断する紀行シリーズ……の最終巻。ユーラシア大陸横断が6冊、アメリカ大陸縦断が9冊。計15冊になるが、あまりに面白くて一気読みしてしまった。

特にアルゼンチンのメンドーサ編は、8巻からラストの本巻に続く長期シリーズだが、非常に良かった。世界には、こんなに気持ちの良い人たちがいるんだなー。こんなに気持ちの良い人たちと出会ってしまっては、どんな観光名所も霞んでしまう。メンドーサで彼らと出会ってしまった著者が旅を終えようと（一刻も早く旅を切り上げるしかないと）思ったのも、何となくわかる。今更ながら「旅に出たい！」と思わせられる傑作である。

まあ現実的に考えると、アラサーを飛び越してアラフォーになりつつある今、本書のような気ままな旅はできないだろう。しかし人生とは旅であると松尾芭蕉も言っていたではないか。もちろん気持ちの良い人々は海外だけではなく、日本にもいるだろう。もしかしたら隣の家にもいるかもしれない。これは物理的な話ではなく、心持ちの話なのだ。狭い世界に閉じこもっていては、こんな人たちと出会うことはできない。

またしばらくしたら一気読みしたいなあ。今度は本家『深夜特急』も一緒に読もうかな。