佐々木正悟『なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか?』

仕事が予定通りに終わらない原因は多々あるし、仕事を予定通りに終わらせるためのアプローチも多々開発されてきた。しかし結局のところ、仕事を可視化するしかない。すなわちタスクを洗い出し、タスクの優先順位とdue date(締切)を可視化し、さらにはそれぞれの仕事を終わらせるための時間を可視化(それを見積と言う)することである。最後はこれらを継続して予定と実績の差をトラッキングすることで見積精度を上げていくとともに、時間は有限であるということを知るしかないよね……というのが本書の根本にある発想である。

完全同意である。

しかしこれが難しい。簡単なようで難しいから、みんな上手く行かないのである。

だから、強く認識するといった「精神論」ではなく、強制的に認識せざるを得ないような「ツール」に落とし込む。それが本書で述べられる「タスクシュート」という仕組みであり方法論である。その仕組みはエクセルツールにまで具体化されており、実際に購入することもできるのだが、買わなくても本書で考え方を学ぶことは出来る。

余談

エクセルも買ってみた。

けっこう良いと思う。

しかしながら、わたしは上記で書いたようなタスクの洗い出し、優先順位とdue dateの可視化、見積の可視化を何年も試行錯誤してきた。アプローチを一言で書くと「ToDoリストとスケジュール表の連結」である。繰り返しタスクや会議タスクをも全てToDoリストに落とし込み、それぞれの時間を予め見積もっておく。そしてそれを日々の予定スケジュールに30分単位で落とし込むとともに、実績も記載し、予定と実績の差異分析を行っているのである。そのような人間からすると、本書のエクセルツールは参考にはなるものの、結局は自分が試行錯誤したツールの方が役に立つと思った。わたしのツールは、わたし自身の問題意識を直接的にツール化したものだから。

なお、自分のツールはVBAすら使っていない。初歩的な関数だけである。どんな環境でも使えるようにというのがその理由であるが、最近はエクセルではなくGoogleスプレッドツールに変更してみた。チームメンバーにも使ってもらうためと、わたしの予定を(リアルタイムで)チームメンバーに公開するためである。この試みは(試行錯誤を続けているものの)概ね巧く行っている。チーム間の依頼タスクをこれで管理している。

そこまでの問題意識を持っていない方や、ツールに落とし込む時間のない方、こうしたツールに落とし込むことに慣れていない方は、著者のエクセルツールは十分に役に立つと思う。