中原淳『駆け出しマネジャーの成長論 7つの挑戦課題を「科学」する』

駆け出しマネジャーの成長論 7つの挑戦課題を「科学」する (中公新書ラクレ)

駆け出しマネジャーの成長論 7つの挑戦課題を「科学」する (中公新書ラクレ)

突然化・二重化・多様化・煩雑化・若年化という5つの外部環境の激変のため、プレイヤーからマネージャーへの移行は昔よりはるかに難しくなっており、駆け出しマネージャーの3割は、その移行に「つまづく」そうだ。自身の研究成果を踏まえて、つまづきを乗り越える方法をアドバイスする、という意図の本である。

具体的に新任マネージャーが取り組むべき挑戦課題は7つ。

  1. 部下育成
  2. 目標咀嚼
  3. 政治交渉
  4. 多様な人材活用
  5. 意思決定
  6. マインド維持
  7. プレマネバランス

部下育成・政治交渉・プレマネバランスあたりは、わたしも日々迷っているというか、試行錯誤しているところがある。例えばプレマネバランス、これはプレーヤーとマネージャーのバランスということを指す。今時の会社は「マネージャー」と言っても大半がプレイングマネージャーである。しかもわたしはコンサルタントだ。コンサルタントというのは、たとえマネージャーになっても「プロジェクトマネージャー」や「現場マネージャー」は単なる管理職を意味しない。よりハイレベルな問題解決や課題推進を求められるという意味で、どこまでもプレイングマネージャーと言って良い。しかしマネージャーになると社内の仕事が増える。しかも猛烈に。そのバランスというのは結構大変なのである。

なお著者である中原淳も30代後半となり大学で管理職的なことをやらされており云々……という記述が頻発するが、こういう学者と企業人では「マネージャー」といってもその性質が全く違うような気がして、特に著者との連帯意識のようなものは感じない。あと、著者のこれまでのコンセプトと重複するところがあり(内省の話とか)、内容への新鮮さもあまり感じない。それを除けば、かなり良い本だと思う。