- 作者: 米国戦略諜報局(OSS),越智啓太,国重浩一
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 2015/07/19
- メディア: 単行本
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スパイ活動と言っても大袈裟なものではない。これは公衆トイレといった社会インフラや会社組織・工場などのあらゆるところで小さなミスや非効率を発生させ、意思決定や効率的な経済活動を邪魔していくという「草の根運動」的なスパイ活動である。そしてそれを一言で書くと「サボタージュ(怠業)」という訳である。
もちろん草の根運動と言ってもスパイ活動の手引きであることには変わりがなく、長年秘密文書とされていたのだが、2000年代に入って一般の人でもこのサボタージュ・マニュアルを読めるようになった。そして一部の英語の読める日本人の間で「これは日本の官僚組織そのものではないか」と話題になり、ブログ等で紹介され、話題になったのである。
「規則を隅々まで適用せよ」「重要な仕事をするときには会議を開け」「細かな様式や言葉尻にこだわれ」「一度決まったことでも蒸し返せ」などなど……うーむ、このあたりは何度読んでも唸ってしまう。組織を効率的に回すための「手段」であったはずのルールやプロセスを、それ自体の遵守を「目的」化させることで、組織はここまで破壊されるのだと。