宮内悠介『カブールの園』

カブールの園 (文春e-book)

カブールの園 (文春e-book)

表題作「カブールの園」と「半地下」の2篇で構成。どちらも短編というには長く、長編というには短い。何と言えば良いんだろうね。でも長編というほどの構造は持っていないから、やはり長めの短編と呼ぶべきだろうな。

アメリカの人種差別問題と日本人・日系人の関わり(特に子供時代にそうした理不尽な差別を受けたことによるトラウマ)を描いたという点では「攻めている」と感じるし、見るべきものはあると思う。しかしながら、個人的には、これまでに読んだ宮内悠介の『盤上の夜』『スペース金融道』『あとは野となれ大和撫子』といった作品に比べると、一歩劣るかな。もちろん、単に好みの問題というのもあるかもしれない。