村上龍『すべての男は消耗品である。 VOL.5:1995年9月~1998年9月 金融危機』

すべての男は消耗品である。VOL.5: 1995年9月?1998年9月 金融危機

すべての男は消耗品である。VOL.5: 1995年9月?1998年9月 金融危機

村上龍が長年書いているエッセイシリーズ。これまで敬して遠ざけてきたが、電子書籍化されているのを知り、まとめて読んでいる最中。

(VOL.3ぐらいから変化の兆しは見られたのだが)VOL.4あたりから明確に文体が変わってきた。VOL.5も同様で、強度が増し、密度が増した。わたしが「村上龍」と聞いて元々イメージしていた、日本社会が持つ曖昧性・冗長性・硬直性・閉塞性・固有性(日本は世界の中でも特別だと考えてしまい、それにより自己を慰めてしまったり本質から目を背けてしまったりする現象を仮にこう呼びたい)等に苛立ち、本質を端的に、そして執拗に描写する村上龍の姿がここにある。時期的にも、わたしが耽溺する『五分後の世界』や『ヒュウガ・ウィルス』を書いた時期と合致しており、なるほどなという感じがある。