勝間和代『勝間式 超ロジカル家事』

勝間式 超ロジカル家事

勝間式 超ロジカル家事

本書の内容に入る前に、ちょっと色々と語ります。

わたしは25歳やそこらで就職して一人暮らしを初めて以来、できもしない料理本を何冊も書い、使えもしない調理器具を幾つも買ってきた。でも続かない。料理本そのままに何度か作ってみるのだが、普段料理をしないのでレシピを実践しようとする度に香辛料だの何だのを買ってこなければならないことや(例えばわたしはローリエやコリアンダーなど持っていないし、みりんや調理酒すら普段は持ってない)、分量や時間まで決められて裁量の余地が無いことに、強いストレスを感じるのである。だからしばらくすると勝手にレシピを逸脱して違うことを始め、でも料理スキルがゼロだから違うことをしても美味しくはならない。かけたコスト(時間やお金や気力)に対するリターン(味)がイマイチなことに消沈し、料理本や調理器具を使わなくなる……その繰り返しであった。

そのような中、わたしは未だに料理スキルは限りなくゼロなのだが、とりあえず自炊をしている。平日のランチ&週に1回〜2回のディナーは外食なのだが、それ以外は全て自炊だ。

いや、正確には「自炊」というほど大層なものではなく、「外食やコンビニ弁当ではないもので腹を満たしている」という程度なのだが、それは追って説明する。

さて、上記の達成(と言って良いだろう)に至るまでに、わたしは幾つかの出会いがあり、幾つかの諦めがあった。

土井善晴の『一汁一菜でよいという提案』という本

まずひとつは、土井善晴『一汁一菜でよいという提案』という本との出会いである。

incubator.hatenablog.com

これを読み返すと、心が落ち着く。毎日違う料理、毎日たくさんの料理を並べる必要なんて無い。ちゃんとしたご飯じゃなくても良いじゃないか、毎日、白飯と味噌汁と漬物があれば十分だろ、という主張だ。しかも、美味しくなくたって良いじゃないか、レストランじゃないのだからほどほどの味で良いだろうとまで言ってくれる。料理の専門家がそう言っているのである。この言葉に、わたしのような人間ですら心が整うわけだから、世の忙しい母親たちは涙が出てしまうのではないだろうか。

『一汁一菜でよいという提案』を読んで、わたしはまず「ちゃんとしたご飯」を作ることを諦めた。次に「美味しいご飯」を作ることすら諦めている。土井善晴がホームポジションと呼ぶ、とりあえず「自分で生きるための食事を自分で準備することが重要だ」という発想を得た。わたしたちは忙しいのだから、それだけでも十分な達成だ、という思考転換である。

完全食COMP

www.comp.jp

次なる出会いが、COMPである。

昔、ソイレントという完全食品がアメリカで流行ったのだが、どうも問題があったらしく日本には結局上陸しなかった。しかしソイレントが目指した「1日3食これだけで必要な栄養素を摂取できる」という発想を日本で実現したのが、このCOMPという製品である。今、COMPの基本である粉タイプ(プロテインみたいに水に溶かして飲む)だけでなく、グミタイプ、ドリンクタイプもある。おそらく固形バータイプも出て来るんだろうな。わたしは粉タイプとグミタイプを試したが、どちらも美味い。特に粉タイプはシンプルで美味しい。飲み飽きない。ネットではアメリカ産の味の強いMRP(マイオプレックスが代表例)の方が美味いと書いている人が多いが、わたしはCOMPは上品で美味しいと思う。

1日3食COMPにすることも考えて我が身で実験したのだが、やはりドリンク1杯では物足りなさもある。腹が減るというよりは、脳みそが飲み込むという行為を求めているというか。なのでCOMPは常に常備するが、常食ではなく、忙しい時の非常食とすることにした。これで、料理をする気力がなかったり料理をし忘れても、とりあえず家で食事が完結する。これを料理とは呼べないだろうが、わたしの中では外食ではなく自分で準備している時点で合格なのだ。

ここでは、「完全食」という発想を得て、「自分で作ること」を諦めた。

勝間和代のブログと調理家電

katsumakazuyo.hatenablog.com

最後の出会いが、勝間和代のブログである。彼女がはてなブログに引っ越してきたので、なんとなーくブログを見始めたのだが、彼女はGoogleの音声入力などを活用しており、それが気になって定期的にブログをチェックするようになった。そのような中、勝間和代はGoogle等のネットサービスやガジェットだけではなく食生活にも色々とこだわりがあることを知った。彼女はヴィーガンを自称して肉を取らなくなり、代わりに豆類でタンパク質を摂るようになった。また最新の調理家電を駆使して料理をしていた。さらには炊き込みご飯を多用していた。

それだ!

というので、わたしは(就職してから実に4度目となる)炊飯器を購入し、最近はほぼ「炊き込みご飯」オンリーの自炊をしているのである。良い玄米と良い塩を入れて、テキトーに野菜と豆ときのこを1種類ずつ入れて、炊飯器をセット。材料をざくざく切るだけなので包丁とまな板すら要らず、調理バサミで十分。勝手に玄米や豆の浸水も完了し、時間が経てば機械が勝手に炊飯を始め、食べられるようになる。冷めても美味い。

これは一汁一菜ですらない。とりあえずこれ(炊き込みご飯)だけ食べていれば、炭水化物もタンパク質もビタミンもミネラルも食物繊維も何とかなる。不足している栄養素があってもマルチビタミンとフィッシュオイルのサプリと野菜ジュースと運動後のプロテインで何とかなるだろうし、ラーメン・カレー・牛丼・チャーハンの外食サイクルよりは健康的だと考えている。それにランチは(今のところ)外食だが、外食は肉類中心が多いので、動物性タンパク質や脂質も何とかなる。

わたしは勝間和代のブログを読むことで、「完全食を実現するためのアイデア(炊き込みご飯)」と、それを実現するための「調理家電」の情報を得た。自炊らしきものを毎日するようになってきて多少興味も出てきたので、勝間和代が使っているホットクック(全自動の調理家電)も使ってみようかなと考えている。

ようやく本題。勝間和代の『勝間式 超ロジカル家事』について

さて、やっと本題である。

わたしは上で書いたようなステップを経て、一人暮らしから実に15年をかけて、やっと外食中心の生活から抜け出せたのだが、勝間和代のブログ情報はかなり参考になった。というので、勝間和代が料理や家事について書いている本がないかなと思っていたのだが、実は超ピンポイントで『勝間式 超ロジカル家事』という本が出ているのである。ブログで最新情報を得ているので、1年半前に出版された古い情報を今さら書籍で得てもなぁ……という思いもあったが、何かないかなーと思って読んでみることに。

全般的な印象としては、ロジカルというよりも、トライ・アンド・エラーによる「合理的」な家事である。機械の力を最大限に使って、「効率的」に家事をこなしていくという発想だと言い換えても良い。調理家電は結構高いものも多いが、特に調理家電の進歩は凄まじい。何十年も料理をしてきた主婦の料理よりも、女子高生が調理家電で作った料理の方が美味しいなんてことも普通にあるようだ。わたしはバカのひとつ覚えで毎日炊き込みご飯ばかりを作っているわけだが、勝間和代はホットクック(かき混ぜ棒がついて温度調節ができる調理家電)、象印の煮込み自慢(かき混ぜ棒はついていないが煮汁を上からかける機能がある調理家電)、ヘルシオ(大ブームになったウォーターオーブン)、リクック(ノンフライヤー)などをフルに活用して料理をしているので、ブログを見ても意外にバリエーションが豊かだ。わたしは料理スキルがゼロなので、あまり先走ると結局やらなくなるが、今勝間和代がメインで使っているホットクックは使ってみたいなあ。

なお、料理以外に、掃除・洗濯、収納、家計管理、あと家事とは関係ない気もするがファッションや健康管理についても語っているので、簡単に一言ずつコメントしておく。

洗濯について

わたしは数年前に買った乾燥機能付の洗濯機の力が凄くて、洗濯についてはあまり不便を感じていない。以前どこかで「使う頻度の高いものに金をかけると幸せになれる」と聞いたことがあるのだが、その観点で言えば、洗濯機は寝具と合わせ、その最たるものだろう。昔は洗濯をして干す・取り込むという作業が面倒くさすぎて、週に1回とか2週間に1回しか洗濯をしなかった。そうすると、1回あたりの洗濯の負担はさらに増えるし、服もとんでもない量を持っていた。しかし乾燥機能付の洗濯機を買って全てが変わった。干す&取り込む手間がなくなるのである。だから今はワイシャツもインナーも靴下もタオルも原則3日分しか準備せず(予備として何枚か新品をストックしておく)、2〜3日に1回は洗濯をするようにしている。そうすると服は劇的に減る。わたしのように一人暮らしではなくて家族で住んでいる人なら、毎日洗濯するだろうから、そうしたら服なんて2着で十分だと思う。その代わり消耗品としての服はヘタリが来たら高頻度で買い替えていく。もちろん大事な服は大事に着る。それが一番気持ちが良くてすっきりする。

収納について

今は上で書いたように衣服を中心とした断捨離を進めて収納スペースを空け、床に直置きをしていたものを収納スペースに入れることが出来た。著者も書いているが、断捨離だの整理整頓だのの前に、まず前提として、収納スペース以上のものは持たないことが重要なんだろうな。けどわたしは、使ったものを元に戻せないという悪癖を抱えており、しかも浪費癖があるので、すぐ部屋の中が散らかるんだよね。月に1回ぐらいは大掃除というか、収納スペースにちゃんと片っ端からしまっていく行為が必要。これ普通の人は毎日ちゃんとやっているんだろうな。

掃除について

わたしは今、掃除機すら手放してしまった。昔は掃除が嫌い&できないのを道具で解決しようとして、かの有名なダイソンの掃除機を2つも買ってしまった(通常タイプと、通常タイプを使いこなせないので次はハンディタイプ)。でも結局しばらくすると使わなくなり、汚部屋に一直線。今は上で書いたように衣服を中心に断捨離を進め、床に直置きするものが(収納が上手く行っている時は)ほとんどないため、複雑な掃除用具は必要がない。スコッチブライトのフロアワイパー(クイックルワイパーみたいな奴)と、モップ(雑巾みたいなのがついた奴)だけで掃除をしている。乾拭きと水拭きどちらを先にやるのか正直よくわかってないけど、ホコリが水を吸ってダマになると嫌なので、基本的にまずフロアワイパーで乾拭きをして、ワイパーで取れない大きなゴミを手に取って捨て、その後モップで水拭きして、最後に乾いたモップで乾拭き。とても毎日はできません。数週間に1回かな。

少ない?

まあ平日に昼間は家にいないから……。毎日掃除できる人はすごいと思う。

基本的に掃除が嫌いなので、お掃除家電のルンバ(言わずと知れた全自動掃除機)とブラーバ(こっちは全自動雑巾がけ)は買いたいなーと思っている。狭い家なので買う必要ないような気もするけど、狭いからと言って毎日はできないし、毎日誰かが(機械でも)掃除してくれると嬉しいなーと思う。本書を読んで購入意欲が上がった。

家計管理と健康管理について

どちらも大の苦手だなあ。自炊を始めて痩せてきたので、健康管理はもう少しやれるようになるかも。

ファッションについて

これも門外漢っつーかメイク云々はよくわからない。服やメイクのパターンを減らして、組み合わせを色々と考えることに脳のリソースを使うことを止めて、自分が好きだったり似合ったりするものをひとつ作るという発想は好き。スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグなんかも同じ理由から、同じ服ばっかり着ているよね。

あとは顔よりも髪というのは著者の主張のとおりだと思うが、もっと言うと男だと体型かも。鍛えている人だと無地の白Tシャツ1枚でも十分に格好良い。