中山元『労働の思想史 わたしたちはなぜ働くのか』

労働の思想史: わたしたちはなぜ働くのか

労働の思想史: わたしたちはなぜ働くのか

哲学・思想的に「労働」がそもそもどう取り扱われてきたかを解説した本。かの有名なプロ倫はさることながら、他にどんな画期的な本があるのかなーと興味があり、買ってみた次第、小難しいんだろうなーとは思っていたが、やはり小難しくて途中からついていけなくなった(というか飽きてきた)。

かなり序盤だが、西洋古来より、単に(人から指示命令を受けて)労働力を提供する「労働」と、職人として何かをクリエイティブに生み出す「仕事」が区別され、仕事よりも労働を一段下に見る風潮があったという指摘は興味深かった。「仕事に貴賎はない」という通俗論は、必ずしも常識ではなかったという話に尽きるのだが、よく考えたらそれも当たり前か。洋の東西を問わず、昔は「仕事」と「身分」が不可分のものだった。日本の士農工商も、支配階級である士は横に置いておくにしても、非支配階級である農工商は、物を作り出す農民・職人が上で、商人が下である。