メンタリストDaiGo『最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法』

最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法

最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法

まとめ

下の方でいつも通りダラダラっと感想を書いたが、ノウハウをブレットポイントでまとめたくなったので作成。

  • 教科書に線を引く、語呂合わせ、テキストの再読、集中学習、忘れる前の復習などは全て非効率。授業を聞きながらノートを取る、聞き流すだけで良い、といった受け身の勉強法全般もNG。
  • 効果の高い勉強法を一言で書くと、自分なりに頭を使いながら積極的に学ぶ「アクティブラーニング」に帰着する。そして勉強をアクティブラーニング化する方法は概ね「想起」と「再言語化」に集約できる。
  • 想起を促す勉強テクは以下の3つ(派生系も入れると4つ)
    • クイズ化(勉強の度に自分でミニテストを作成)
    • 分散学習(復習の間隔を少しずつ伸ばし、一度に覚えようとしない)
    • 分散学習の派生:インターリービング(複数ジャンルを同時並行で勉強)
      • ひとつの領域だけの勉強を狭く行うブロック学習は脳への刺激が単純化され、脳のパフォーマンスが落ちてしまう
      • ただし手を広げ過ぎると勉強が進まない等の弊害もあるため、通常はジャンルを3種類までに絞り込むのが良い(英語の勉強ならライティング→文法→リスニングと3つのジャンルで勉強セットを作成)
      • ジャンルごとの勉強時間は等分
    • チャンク化(自分なりのルールでグルーピングして構造的に知識を理解)
  • 再言語化を促す勉強テクは以下の3つ
    • 自己解説(学びたい内容をリスト化→WHYやHOWで常に自問自答→確認テスト(上のクイズ化か)
    • ティーチング・テクニック(わたしがこのブログで何度か取り上げている相互教授法のこと、なお「相手がいると仮定して声に出す(ラバーダック勉強法)」や「後で他人に教えるつもりで勉強」でも効果有、また複雑・難解な内容を整理するには「10歳児教授法」が有効)
    • イメージング(架空のディベート番組のイメージ、友人や家族がこの問題に関わっているとイメージ、英文の主人公を全て「私」に置き換える等により、より具体的・俯瞰的に物事を理解)
  • 勉強前の準備テクも重要で、要するに(とのことだが、音楽云々のわたしがあまり興味が無いテクも多いので2つだけ記載)
    • 自己超越目標(自分の身の丈を超えた大きな目的やゴール)を書き出すことでモチベーションの質が変化し、勉強効果UP
    • 自分が知っていることを毎回勉強前に書き出す(注:自分がこれから覚えるべきことの書き出しではない)
  • 勉強後の過ごし方テクも重要(とのことだが、要するに休むときは徹底的に休んでメリハリつけろという話に尽きるので詳細は割愛)
  • 「上級テク」も書かれているが、要するに上記で書いたことのバリエーションにすぎないので詳細は割愛(話しかけるつもりでの音読、五感をフルに活用、ジェスチャー等)
  • 上記の他、さらに「ワーキングメモリ性能アップ」や「成長マインドセット」についての記載もあるが、やはり上記のバリエーションか、勉強法そのものとは外れた内容のため、詳細は割愛

感想

先日読んだ『人生を思い通りに操る 片づけの心理法則』に続き、メンタリストDaiGoの本を読むのは2冊目。わたしは勉強法や記憶術の本をこれまで何度か読んでいるため、その本と被るところが多いのだが、本書は(体験談ではなく)科学的なエビデンスのある勉強法や記憶術を紹介しているという点で、良い本ではないかと思う。

なお、色々とTIPS的なアドバイスも多いのだが、数十もの「良いやり方」を取り入れるのは大変なので、わたしがこの手の本を読む際は、その原則となるものを把握しようとしている。本書でわたしが理解したのは、「想起」と「再言語化」という2つのキーワードだ。

まず「想起」というのは、六波羅穣『一流の記憶法 あなたの頭が劇的に良くなり「天才への扉」がひらく』にも書かれていた点だが、要するに「思い出そうとすること」により、記憶されるということだ。

incubator.hatenablog.com

え、当たり前? そんなことはない。世の中には「一度見ただけで忘れない」とか「聞き流すだけで覚えられる」といったキーワードが溢れているではないか。しかし脳の仕組みの原則は「思い出そう」とした際に、脳に深く書き込まれるという先ほどの話を思い出せば、よほどショッキングなものでない限り、そのような勉強法や記憶術は間違いであることがわかる。そしてこの原則を理解すれば、例えば、子供の復習のタイミングは「授業の直後」や「放課後即帰宅→帰宅直後」ではないことがよくわかる。忘れていない状態で教科書やノートを読み返しても、脳はその時点ではしっかり覚えているわけで、思い出そうとする「想起」という脳への刺激が起こらないからだ。一方、完全に忘れた後で復習しても、それはそれで新規に学び直すのと変わらないから、勉強の効率が悪くなる。すなわち「忘れかけた状態」が最も復習に適しているのである(理解していないことの理解を深めるという意味では、もちろん授業の直後に復習をする意味はある。

次に「再言語化」は、要するに自分の言葉で整理しようというものだ。

再言語化の効果については、ノートを綺麗に&完璧に取っていた同級生の成績が必ずしも良くなかったというケースを思い出せば、理解しやすいだろう。彼ら/彼女らは、単に黒板に書かれた内容を綺麗にノートテイクしていただけで、自分の言葉で理解しようという再言語化が起こっていなかったのである。単純作業であり、受け身の学びだった、と言って良いだろう。他にも、わたしが塾講師時代から活用していた「相互教授法」の正しさも、この「再言語化」で説明できる。相互教授法とは友達同士で教え合うことである。自分で「わかったつもり」になっていても、いざ教えようとすると、上手く行かないことが多々ある。これは単なる説明能力の不足ではなく、「わかったつもりだったけどわかっていなかったこと」が他人への説明・教授という行為を通して炙り出されるのである。そして自分の言葉で説明し直すこと(つまり再言語化)で、理解が促進される。付け加えるならば、本書で強調されている「クイズ化」も、要するに再言語化であり、名付けるなら自分自身を教える「自己教授法」と言って良いだろう。

なお、本書の内容は当然「想起」と「再言語化」だけではない。もうひとつだけわたしが「使えそう」だと思ったアイデアを挙げるならば、脳には緊張モードと緩和モードのようなものがあり、緊張モードの際にしっかり物事をインプットした後、緩和モードの時間帯に脳内で知識の整理整頓が起こり、理解や記憶強化が発生するというものだ。要するにメリハリなのだが、寝る前と起きた後に勉強するとか、パワーナップ(ランチ後の昼寝をする)とか、勉強の前後に軽い運動をするとかも、要するにこのメリハリに帰結するような気がする。