インキュベ日記

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デロイトトーマツコンサルティング株式会社『要員・人件費の戦略的マネジメント』

要員・人件費の戦略的マネジメント (労政時報選書)

要員・人件費の戦略的マネジメント (労政時報選書)

  • 作者: デロイトトーマツコンサルティング株式会社,岡本努
  • 出版社/メーカー: 労務行政
  • 発売日: 2013/12/20
  • メディア: 単行本
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要員管理・人件費管理について、これまで読んできた類書の中で、最も「人事マンっぽくないアプローチ」で書かれている。

だからこそ良い本だと思った。

例えば、労働分配率は確かに良い指標かも知れないが、昨今は、アウトソース・派遣社員活用・コンサル利用・請負契約等々、表面的には労働分配率が低くても高コスト体質(より正確には高・マンパワー体質)が変わっていないというケースがよく見られており、「労働分配率ありき」の議論にわたしは疑問を覚えるのである。同様に、適正な労働分配率の算出だとか、適正な直間比率だとか、その手の指標の水準ありきの考え方にも疑問を覚える。

そんな中、本書は、あくまでも戦略的な視点から大上段で語っており、あまり微細な手続きに深入りしていない。個人的には、この程度の解像度の方が読者に求められていると思う。

余談

本書を書いた人が最近、労政時報という人事・労務の専門誌(正確にはそのWEB版)で、要員・人件費管理の連載をしていたので、参考までリンクを張っておく。タイトルは「“未来型”要員・人件費マネジメントのデザイン」である。

www.rosei.jp

わたしが上記で書いた疑問は、要するに「狭義の人件費だけを分析したり水準を云々しても意味が無いだろう」というものだが、このWEB連載でもわたしのこの疑問にはしっかりと答えてくれている。WEB版の連載を読んでから本書を手に取るのも良いかもしれない。なお、WEB版の方は、前半は凄くしっくり来たのだが、後半は「ここでのテーマは要員・人件費だよね?」という感じで、かなりピンぼけしている気がする。少なくとも、要員や人件費について考えを整理したいというニーズは満たせない。

その意味では、WEB連載よりは本の方が良かったかも。