米澤穂信『リカーシブル』

リカーシブル(新潮文庫)

リカーシブル(新潮文庫)

父の失踪により母親の故郷である坂牧市(過疎化が進む地方都市)に引っ越した少女が、町の「高速道路誘致運動」と「未来視にまつわる伝承」と対峙する……といった感じかな。微妙にニュアンスが違うんだけど、あまり細かく書くとネタバレになりそうなのでやめとこう。

主人公の少女は中1なんだが、いわゆるスクールカーストを意識した振る舞いに異常に自覚的であったり、弟は弟でこの町には一度も来たことがないはずなのに「知ってる」と言い出したり、母親との関係が微妙だったりと、もうとにかく不穏である。『ボトルネック』もそうだったが、米澤穂信という書き手は、この不穏さの演出が巧い。

余談

米澤穂信けっこう読んできたなあ。あと読んでいないのは、『インシテミル』と『 儚い羊たちの祝宴』と『折れた竜骨』ぐらいだと思う。インシテミルは映画化もされているそうで、けっこう楽しみだ。なお、10月前半ぐらいにこの辺の本はやっつけるつもり。

余談2

『夏期限定トロピカルパフェ事件』と『秋期限定栗きんとん事件』の上下巻も未読だったな。いわゆる〈小市民〉シリーズと呼ばれているものだ。これも年内には読もう。