関口賢『月曜断食 「究極の健康法」でみるみる痩せる!』

月曜断食 「究極の健康法」でみるみる痩せる! (文春e-book)

月曜断食 「究極の健康法」でみるみる痩せる! (文春e-book)

断食は良いだの悪いだのと色んな人が色んなことを言っているが、わたしは昔から「1日3食の規則正しい食事」って何なんだろうと思っている。そもそも規則正しい食事が確立したのは農耕が確立した過去数千年で、1日3食食べるようになったのも100年かそこらである。昔の日本は1日2食だったと言われている。なお、わたしは子供の頃は親がきちんと朝食を作ってくれたから1日3食しっかり食べていたが、今は(準備や後片付けが面倒なので)朝食は食べていない。だが少なくとも感覚的には、朝食を食べないから力が出ないとか頭が働かないというのは嘘で、仕事をする上でも休日にハイキングをする上でも、はっきり言って何の問題もない。慣れの問題のように思う。

もう少し書くと、西洋医学に基づく栄養学は、あの栄養も必要、この栄養も必要、と盛んに警告するが、よく考えてほしい。太平洋のポリネシア諸島に住む人たちは、ほぼタロイモしか食べていない、すなわち栄養学的には明らかに栄養不足なのに、ムキムキマッチョな人がいっぱいいるのである。昔の日本にも、明らかに栄養不足だし、満足な朝食も栄養豊かな昼食も食べていないと思われるのに、とんでもない強行軍で移動する飛脚がいたし、松尾芭蕉はとんでもないスピードで旅をしている計算になるし、伊能忠敬も地図を作るために地球1周分は歩いたと言われている。今と比べて明らかに栄養不足なのに何故そんなことができたのか? それが微量栄養素なのか、腸内環境なのか、今のわたしにはわからないが、少なくとも「栄養素と1日3食の規則正しい食事があれば万事解決」というわけではないだろう、ということはわたしにもわかる。

そうすると、わたしが気になるのは、ほぼ繰り返しだが「1日何食が適切なんだ?」「たまには食を抜いて不規則にしても良いんじゃないか?」ということである。

上記のわたしの疑問に対して、本書の考え方は明確である。1日3食自体には別に何の問題意識も持っていないようだが、現代人は明らかに食べ過ぎであり、体や胃を休めるために少食を心がけるべきである、という考え方だ。しかし少食と一口に言っても、これまで大半の人が実践できていないから体重や体型の悩みを多くの人が持っているのが現状。一番やりやすいのは、週に1回、何も食べない断食の日を作ることである。断食は体の調子をリセットする効果があり、老廃物を排出する効果がある。そして週1の断食を何回かやると体質も変わってきて断食に慣れてくるし、断食に慣れてくると少食にも慣れて痩せやすくなる……とまあ、こんな感じのアウトラインである。本書にはもっと詳しく手順やポイントが書かれている。例えば、月曜は胃腸を休める「断食」、火曜〜金曜は体に良いものを少しだけ食べる「良食」、土曜と日曜は好きなものを食べる「美食」、という1週間の食サイクルを推奨している。また慣れてくると、3日間の断食を月に1回やるとか、そういうのも効果があるらしい。

余談

少食や断食について知るため、西式甲田療法に関する本を最近いくつか読んでいるが、これは西式甲田療法とは全く違う流派。著者は中国系の鍼灸師である。