神坂一『スレイヤーズ 17. 遙かなる帰路』

スレイヤーズ17 遥かなる帰路 (ファンタジア文庫)

スレイヤーズ17 遥かなる帰路 (ファンタジア文庫)

ライトノベルの実質的な走りとも言える記念碑的作品の第三部。

元々もう20年近くも前にスレイヤーズは15巻で完結し、続編は作らないと何度となく筆者も宣言していたわけである。しかし幸運にも(と言って良いだろう)作者が心変わりをして第三部が始まり、16巻『アテッサの邂逅』が刊行されたのが約1年前。でもアテッサの邂逅は正直ファンサービスというか、第二部の後日譚というか、まあそんな感じの作品で、面白かったけど1年経ったら内容ほとんど思い出せないというか。

17巻『遙かなる帰路』は違う。これこそ実質的な第三部の開始と言って良いだろう。リナとガウリィは色々あって、言葉は何とか通じるものの、見たことも聞いたこともない街に物理的に飛ばされてしまう。誰一人知り合いがおらず、これまでの文字・通貨・文化が通じず、自分が住んでいた街のことも誰一人として知らない、2人はそんな孤独な異郷から故郷へと帰る道を探し始める……と、まあそんな感じのプロローグである。展開上、これまでの登場人物がリナとガウリィ以外ぜんぜん出てこなくなると思われるが、これも見方を変えれば、スレイヤーズはリナとガウリィがいれば成立するとも言えるわけで、あまり心配はしていない。

これまでとちょっと旅の目的が変わったので、スレイヤーズの世界観をより幅広く理解できるのも良いね。

とにかく大満足!

また1年後か1年半後に続編が出ることになるのかな。とにかくすぐに刊行してほしい。