月子『彼女とカメラと彼女の季節』1〜4巻

彼女とカメラと彼女の季節(1) (モーニング KC)

彼女とカメラと彼女の季節(1) (モーニング KC)

彼女とカメラと彼女の季節(1) (モーニング KC) 彼女とカメラと彼女の季節(2) (モーニング KC) 彼女とカメラと彼女の季節(3) (モーニング KC) 彼女とカメラと彼女の季節(4) (モーニング KC) 彼女とカメラと彼女の季節(5)<完> (モーニング KC)
通称カノカメ。私は『つるつるとザラザラの間』で作者にハマったのだが、一般的には本作が出世作だと思う。凄く簡単に説明すると、ややレズっ気のある主人公(あかり)、カメラが大好きなクールビューティーなショートカットの女子(ユキ)、カメラ女子の幼馴染みで主人公に惚れている男子(凛太郎)の三角関係を描写した青春漫画。
いわゆる百合的な要素はあれど、それはこの作品の本質ではないと思う。私は、他人との距離感・自分の気持ちとの距離感に苦しみ模索する思春期の焦燥感を描写した、正統派の青春漫画だと感じた。カメラの使い方がとても巧いと思う。ユキは他人や自分の気持ちとの距離感を、カメラを通して学んでいる面もあるし、ファインダーを通すことで現実から一歩引いて自分の気持ちに蓋をしている面もある。そして出来上がった写真を見て自分の気持ちに気づくこともある。単なるカメラマニアがカメラを漫画に登場させましたというのではなく、作品に深みを与えるアイテムとして使われている。
それにしても、つるザラはゆるふわハッピーな癒し系ラブコメ、『トンネル抜けたら三宅坂』は下ネタ全開(というかほとんど下ネタだけで構成)な原作付きギャグ漫画、そして本書はギャグ要素ゼロの百合寄りだけど正統派の青春漫画……月子さん、あなたは作風のカバー範囲が広すぎでんがな!
書籍では既に完結巻となるカノカメ5巻が出ているのだが、Kindleで読めるのはもう少し先かな。早く読みたい。