玉置勉強『ちっくたっく』

ちっくたっく (ヤングチャンピオンコミックス)

ちっくたっく (ヤングチャンピオンコミックス)

玉置勉強については、極詩的大傑作だった『ちゃりこちんぷい』を途中で投げ出してから、どうも好きになれないというか、好きになりたくないというか、応援したくないというか。原作付きだったので、原作側にも作画側にも思うところがあったのだろうが、いずれにしても読者を裏切る漫画家は後でしっぺ返しを食らうと思う。
それでも『東京赤ずきん』『ねくろまねすく』『彼女のひとりぐらし』『ちゃりこちんぷい』と読んできて(本当はブログに書いていないけど『恋人プレイ』とかエロ本とかも読んでいる)それなりに投資してきたこともあり、また新刊が出たので買ってしまった。
……明らかに『ちゃりこちんぷい』的な、でも『ちゃりこちんぷい』ほどには魅力のない漫画が作られてしまったなあ。(嘆息)
『ちゃりこちんぷい』は、高校に居場所のない女子高生3人が放課後にセッションとかをして楽しむ(しかし別にライブ活動をしたりするわけではない)という音楽漫画のような日常漫画のような、もっと端的に言えば「けいおん」的なアプローチである。本書も、高校でスケボー部に入ったトゥの立った女子高生3人(後に4人)が、ちょっとだけスケボーするけれど大して上手いわけでも練習するわけでもなく、スケボーと関係のないことを話したりやったりするという設定で、登場人物の位置づけや関係性は『ちゃりこちんぷい』と凄くよく似ている。
ただし『ちゃりこちんぷい』には「まれちゃん」という『ちゃりこちんぷい』を音楽漫画たらしめるだけの可能性を持った、深みのあるキャラがいたわけです。一方、本書には特段の深みを持ったキャラが存在しない。その結果、本書の読後感は(4コマ漫画専門誌で量産される)毒にも薬にもならないほのぼの系4コマ漫画に酷似している。