ヤマシタトモコ『WHITE NOTE PAD』1巻

WHITE NOTE PAD 1 (フィールコミックスFCswing)

WHITE NOTE PAD 1 (フィールコミックスFCswing)

また凄いの持ってきたなー。

フィクションではよくある「他人と体が入れ替わる」「性別が入れ替わる」という設定だが、これって大体ラブコメやギャグで使われていた設定のような気がする。しかし本作では、徹底的にシリアスで、救いのない、シビアな現実を突き付ける設定に仕上げている。何しろ、ある日突然、38歳の自動車工のおっさん(木根正吾)と17歳の女子高生(小田薪葉菜)の体が入れ替わり、二人はそもそも知らない人で、別人の体のままで1年間が過ぎてしまうという設定なのだ。1年後2人は偶然再会するが、そもそもおっさんの体に入り込んだ葉菜には(正吾が本来持っていた)自動車工としてのスキルが無いので職を失っており、女子高生の体に入り込んだ正吾は「どうせ他人の体だし」と責任感なくゲーム感覚で読モを始めていた。責任感のないゲーム感覚はその後も続き、大して好きでもないイケメンに体を許して処女を喪失してしまうという、葉菜からすれば地獄のような展開。

体が入れ替わった原因がわからない以上、元に戻る方法も見当がつかないわけで、そんな中でもお互い前向きに生きていくしかないのだが、何もできないおっさんとして地獄の日々を過ごしてきた葉菜(体はおっさん)は、そのひたむきさから周囲が少しずつ真摯な目を向けてくれるようになり、一方でゲーム感覚で遊び歩いている正吾(体は女子高生)は、同じ読モ仲間から批判されたり、昔好きだった女が自分の後輩と引っ付いていたりと、どうも面白くない展開……と、自分たちを取り巻く環境も少しずつ変化を見せて行く。加えて、お互いの記憶も混同の兆しを見せており、見たことも聞いたこともない記憶が大事な思い出として浮かび上がったりするなど、さあ今後どうなるか! っていうところで1巻終了。

もう一度言う。また凄いの持ってきたなー。続きが待ち切れん。