堀越耕平『僕のヒーローアカデミア』12巻

僕のヒーローアカデミア 12 (ジャンプコミックスDIGITAL)

僕のヒーローアカデミア 12 (ジャンプコミックスDIGITAL)

バトル漫画の王道というか、少年ジャンプ漫画の王道。

少年ジャンプで連載されるバトル漫画は、雑誌の方針なんだろうけど、どうしても「強さのインフレ」を起こしてしまう。これはもうアンケート重視ということで、1週たりとも気を抜く展開を作らせないという構造的に起こってしまう宿痾のようなもので、この構造を打破するには今のところ、「相性」か「制約」の要素をつけるぐらいしか解決策はないように思う。相性というのは、例えばハンターハンターやジョジョのように、能力同士の相性が出るようにして、この相性を考えながら戦略を組み立てるというもの。もうひとつの相性は、例えば夜にしか本領を発揮できない狼男とか、3分間しか戦えないウルトラマンを考えてもらうとわかりやすい。

さて、本作および本作の主人公は、相性と制約、両方持っている。まずヒーローが持つ「個性」というものが相性や特性を重視したギミックだし、主人公の少年は「骨がバキバキに折れるから全力を出せない」とか「自分の能力の出所を誰にも知られてはならない」などの制約がある。

それでいて主人公は高校生で、成長要素や仲間要素もふんだんにある。

巧い設定だ。