- 作者: 山田芳裕
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千利休が斬首されたのを機に(長くなりすぎたこともあって)しばらく作品世界から離れていたが、久々に1巻から読み返してみると……嗚呼、改めて凄いとしか言いようがない。古田織部は、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康と歴史に名を残す大大名に仕え、千利休などと並んで戦国時代を代表する数奇者と言っても良い。しかし織部は、甲乙丙丁の中でも最上位で隙のない「甲」ではなく、完璧ではないけれども味わいのある「乙」なものに惹かれてしまう。当世風の言葉で言えば「B級」である。そしてどんな人をも一笑に誘う「ひょうげた」作品を求めて邁進するのである。
色々と本やネットで調べてみると、古田織部は日本で(もしかしたら世界で)初めての前衛芸術の理解者・推進者であるとも言え、「訳はわからないがとにかく面白い」というものを追求した大家であると言えよう。
なお23巻の時点ではもう、大坂夏の陣まで来ている。史実では、もうすぐ古田織部は徳川家康に切腹を命じられ、一言も弁解することもなく腹を切って死を遂げることになる。物語の終わりは……哀しい終わりはもうすぐである。いや、山田芳裕のこと、しみったれた一生の終わりではなく、一笑の終わりを見せてくれるに違いない。
刮目して待て!