桑原太矩『空挺ドラゴンズ』2巻

空挺ドラゴンズ(2) (アフタヌーンコミックス)

空挺ドラゴンズ(2) (アフタヌーンコミックス)

龍という架空の生物(しかも大型から小型まで種類めっちゃ多い)は確かに魅力的だが、単に龍かっけーで終わらせず、龍の存在をこの世界観における「ビジネス」や「職業」としてきちんと設定を作り込んできたあたりに、本作品の魅力がある。

いや、そりゃね、龍だって空ばかり飛んでいるわけにも行かないから、たまには地面に降りてくるし、それが街だったら被害も起こるわけですよ。それで龍を捕獲する、捕鯨ならぬ捕龍という行為が出て来る。しかし龍という存在自体が超越的であり、龍を捕獲する人々への、まあ噂というか、前近代的な偏見みたいなのも多くあると。

凄く納得できる世界観・設定である。

なお1巻は、とりあえず龍を捕まえて食う、という異世界グルメ漫画の様相を呈していたが、2巻では一転して龍や捕龍を取り巻くマクロな描写に徹してきたなという印象。ただ、やや作品としての方向性をどうするか迷っているというか、せっかくの世界観をどう料理したものか思案しているような感じを受けた。例えば娼館の女の子は、魅力的なキャラクターで個人的には気に入ったものの、別に捕龍とは関係ない気もする。

やはり本筋は、捕龍船に乗ったメンバーを掘り下げることではないかな。捕龍という職業は危険だし、最初からやりたくてやっている人と、(今はともかく当初は)やらざるを得なくて船に乗り込んだ人がいるはずである。借金のために載せられた人、故郷で色々あって根無し草の働き方しかできない人、祖父母の時代から捕龍を続けていて生まれたときから捕龍船に乗っている人……色々あるだろう。