- 作者: 嵐田佐和子
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / エンターブレイン
- 発売日: 2017/07/15
- メディア: Kindle版
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というより、武道全般だろうか。
柔道・剣道は全国的に流派が統一され、既に競技スポーツ化されていると思う。それが悪いと言うつもりはない。型や技・実力判定方法などが共通化されるメリットも多い。しかしメリットしかないなら、例えば剣道で古流の剣道などは完全に廃れて然るべきだが、そうはなっていない。柔道も同様である。新しい方が「合理的」で「優れている」ならば、古流柔術など絶滅しているはずだが、しかしそうはなっていない。
では、なぜ流派が分かれるのか?
これは素人の考えに過ぎないが、素人なりに考えてみると、もちろん技や型の問題があるだろう。お山の大将的な派閥争いも無縁とは言えまい。しかし流派が分かれる原因として最も得心するのは、武道に対する心構えそのものというか、精神性のようなものなのではないかと思う。普及を優先した、安全性と画一性を追求した競技スポーツとしての柔道と剣道。それとは違う何かを追求した古流剣道や古流柔術。そう考えると個人的にはスッキリする。
そうなると、次に気になるのは、そもそもがマイナースポーツとしての武道は、どういう考えで武道や流派が成り立ち、競技者として鍛錬しているのだろうかということだ。
例えば弓道。弓道は正直、マイナー競技と言って良い。しかし凛とした、張り詰めた空気感がある。かなり昔に何度か生で競技を見たことがあるが、単なるマイナースポーツと片付けられない何かがあるように思った。また、的に当たる当たらないといった点数だけでは片付けられない何かがある。それは日本人ならある程度わかるはずだ……と、『さよなら妖精』でも言われていた。わたしもそう思う。しかし一体それは具体的に何なのだろうか?
今のところ本作は「マイナースポーツ漫画」という感覚しかないが、本書を読み続ければそれがわかるようになるかもしれない。その意味では、けっこう期待している。