椎名うみ『青野くんに触りたいから死にたい』1〜2巻

青野くんに触りたいから死にたい(1) (アフタヌーンコミックス)

青野くんに触りたいから死にたい(1) (アフタヌーンコミックス)

青野くんに触りたいから死にたい(2) (アフタヌーンコミックス)

青野くんに触りたいから死にたい(2) (アフタヌーンコミックス)

初めて付き合った男の子が死んじゃうわけなんだが、幽霊になって云々という漫画。この手の漫画はスラップスティック調のラブコメか日常系人間ドラマになるんだろうなと思ったら、当初は確かにそうだったんだけど、読み進めるうちに不穏な空気が随所に出て来るようになった。いわゆるオカルトというか、幽霊になった男の子が自分自身を制御できないというか、自分の意識の範囲外のところでどうも不穏な言動をしちゃっているという。

こういうの、意外になかったな。

オカルトやホラーの場合だと、一般に、死者は徹底して「他者」や「悪」として描かれている。だから日常系人間ドラマの形を取りながら、身近な死者(という表現も変だが、まあとりあえず)が否応なく、そして徐々に理解できない存在になっていくという構造はあまり見ない気がする。