徳弘正也『黄門さま〜助さんの憂鬱〜』全8巻

時代劇で有名な水戸黄門だが、実は「世直しのための隠密行脚」はテレビ的な演出で、実際にはそこまで全国を放浪していたわけではない……と聞いた時は、子供心にショックというか驚いたというか。まあ昔のことは資料が不十分だから、どうしても事実と伝聞に差が出てしまうというかね。

で、本作はそれを逆手に取って、「いや、実は水戸黄門は本当に漫遊していたんだ。しかし世直しは名目に過ぎず、ただただ人生への刺激を求める爺さんによる老後の楽しみだった」という設定で、危険なことに敢えてクビを突っ込む水戸黄門に振り回されながら、御一行が諸国を漫遊する……という漫画に仕立て上げている。過激な下ネタ、ギャグとシリアスの塩梅、Wikipediaでも言及されている人情話等、徳弘正也の良さが存分に発揮された傑作なんだけど、やっぱり打ち切り。何だろね、これ。この人ホントに面白いのに、たーちゃんと狂四郎2030とバンパイア以外ほとんど打ち切りじゃないのか。