さもえど太郎『Artiste』5巻

Artiste 5巻: バンチコミックス

Artiste 5巻: バンチコミックス

非常に内気でコミュ障なんだが、極めて鋭敏な舌と鼻を持つ若手料理人の物語。

主人公は、子供の頃から「○○ちゃんのシャンプー良い匂いだね」とか言って嫌われたり、料理をマズいと言って親を傷つけたり、働くようになっても単に味がブレているだけの先輩の料理を味見して「どの味で行くか教えてください」と言って先輩を切れさせたりと、自分の能力と上手く折り合いをつけて生きるのが苦手な人である。能力が偏っているというかね。当人は、自分の舌と鼻が人を苛つかせていることはわかるのだが、どこまで他人と違っているのかとか、なぜ他人が怒っているのかをすぐ察知することが苦手で、同じような失敗を何度もしてしまうのである。その結果、コミュニケーションに臆病になり、健全なコミュ力が育たない、というループ構造に陥っている。

しかしながら、かつて『バンビ~ノ!』や『王様のレストラン』といった過去の漫画やテレビドラマでも描かれていたように、一流の料理店というのはシェフの個人プレーではなく、皆のチームプレーで成り立っているわけである。主人公は料理で生きていこうとするなら、コミュニケーションを学び、人として成長しなければならないのである。

5巻も相変わらずの面白さで、続きが早く読みたい漫画のひとつ。