相澤いくえ『モディリアーニにお願い』1〜4巻

美大に通う3人の青年を中心とした青春群像劇。

美大・芸大を舞台とした漫画作品としてすぐに思い出すのは『ハチミツとクローバー』と『神戸在住』であるが、パッと見の雰囲気は『神戸在住』に近い。リア充っぽくない主人公が、過去や現在の様々な苦しみと向かい合いながら日々を過ごしていく様子が、ざらついた筆致で描かれていく(実はハチクロもリア充漫画とは対極にある話なんだが、この辺を語り出すと日が暮れるので別の機会に)。

『神戸在住』と『モディリアーニにお願い』、どちらの作品も読んでいてわたしの心の深いところと共振する感覚がある。揺さぶるのである。『神戸在住』はわたしの中でのオールタイム・ベスト級の漫画なのだが、この作品が完結する頃には、本作も『神戸在住』と並び立つ極私的傑作になるのかもしれない。

なお、『神戸在住』において阪神・淡路大震災が大きなモチーフであり、いやテーマへと昇華しているのと同様、本作においては東日本大震災が大きなモチーフである。この共通点が、あくまで「たまたま」なのか、相澤いくえの『神戸在住』に対する返歌や本歌取りのようなものなのか、わたしにはよくわからない。ただ、件の震災が多くの人にとって人生を左右するほどの大きな出来事だったことはわたしにもよくわかる。

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