インキュベ日記

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感想を書けていない漫画を100冊まとめて 第9弾

漫画を買い過ぎなのは十分わかっているんだが、止まらんなあ。

山本航暉+天碕莞爾『ゴッドハンド輝』全62巻、今井ユウ『アダマスの魔女たち』1〜3巻、細野不二彦『商人道』全3巻、大塚志郎『びわっこ自転車旅行記』1〜5巻、帯屋ミドリ『ぐるぐるてくてく』1〜2巻、山田果苗『東京城址女子高生』1〜3巻、石坂ケンタ『ざつ旅 -That’s Journey-』1〜2巻、OTOSAMA『不良退魔師レイナ』1〜3巻、鹿子木灯『今日どこさん行くと?』全3巻、渡邉ポポ『埼玉の女子高生ってどう思いますか?』1〜3巻、七海仁+月子『Shrink ~精神科医ヨワイ~』1〜2巻

[まとめ買い] ゴッドハンド輝 [まとめ買い] びわっこ自転車旅行記 アダマスの魔女たち(3) (ヤングマガジンコミックス) [まとめ買い] 商人道(ビッグコミックス) [asin:B083F35MZ9:image] [まとめ買い] 東京城址女子高生 ざつ旅-That's Journey- 1 (電撃コミックスNEXT) [まとめ買い] 不良退魔師レイナ [まとめ買い] 今日どこさん行くと? [まとめ買い] 埼玉の女子高生ってどう思いますか? Shrink~精神科医ヨワイ~ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL) Shrink~精神科医ヨワイ~ 2 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
新しく手に取った91冊。

山本航暉+天碕莞爾『ゴッドハンド輝』全62巻

わたしは漫画は基本的にKindleで買っているのだが、これは漫画喫茶。漫画喫茶は年に1回ぐらいしか利用しないのだが、たまたま時間潰しで入った漫画喫茶でゴッドハンド輝を見かけて懐かしくなり、読み進めるも……長い! 当然1回では読みきれず、結局5回ぐらい通って読破した。中学・高校・大学時代はマガジンを毎週買っていたので、前半は覚えているが、後半は読んでなかったな。まさか全62巻とは。

細野不二彦『商人道』全3巻

細野不二彦の佳品。最近(と言ってもギャラリーフェイク以降)の作品はあまり食指が動かなかったが、これは面白そうなので読んでみた。最近最新作の『バディドッグ』を読んで面白かったというのもある。ガチガチに利権の固まったエネルギービジネスで一山当てようという若手モーレツリーマンが主人公なのだが、中国にそのチャンスを求めている。ここで古さを感じてはいけない。既に中国ビジネスが危ういということを知りながら、敢えて乗り込んでいるのである。めちゃくちゃ面白いと言うほどではないが、値段分の価値は十分ある。佳品。

大塚志郎『びわっこ自転車旅行記』1〜5巻

滋賀県出身の4姉妹(長女・次女・三女は既に社会人として首都圏で働いている)が、長期休暇の度に自転車旅行を企てて実行するという建て付け。普段からロードバイクにガンガン乗っているタイプではなく、休みの度に一念発起して体をいじめ抜くというタイプで、それはそれで自転車の楽しみ方だとは思ったり。ドキュメンタリー的な描き方で、ややモノローグが多いかも。けど作者の体験をベースにしているようで、坂道や自販機の有無等、工程の描写がリアルで、苦しみもリアルに伝わってくる。

なお、主人公の生家は大阪の高槻市らしく、高槻市役所・桃園小学校・高槻の餃子の王将・摂津富田駅・如是にょぜのドブ川・五百住よすみ小学校などなど、超超超ピンポイントでわたしの中学入学から就職までの生活圏の描写があり、何気ないコマのひとつひとつが極私的にめちゃくちゃ楽しかった。いやもうね、主人公たちには絶対、再度ここに寄ってもらいたい(笑)

渡邉ポポ『埼玉の女子高生ってどう思いますか?』1〜3巻

埼玉県の行田市を舞台に、埼玉あるある的なギャグコメディを展開。『翔んで埼玉』的なご当地自虐ネタという感じなのだが、わたしはこの手のネタがけっこう好きだ。愛があるからこそ描けるネタなんだよね。事実作者も埼玉県の上田に住んでおり、埼玉を愛している。

七海仁+月子『Shrink ~精神科医ヨワイ~』1〜2巻

『つるつるとザラザラの間』を描いた月子の最新作。医療モノはまあ鉄板なのだが、これは精神科医か。確かに本作の言うとおり、3分の1の人が精神科に通っているアメリカと、精神科に通うイコール異常者認定のある日本で、それほど精神疾患の割合に差があるとは思えない。もっと気軽に通って良いのかもしれない。

大今良時『不滅のあなたへ』7〜12巻、三条陸+佐藤まさき+石ノ森章太郎+塚田英明+寺田克也『風都探偵』8巻、恵三朗+草水敏『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』17巻、浜田よしかづ『つぐもも』25巻

[まとめ買い] 不滅のあなたへ 風都探偵 (8) (ビッグコミックス) フラジャイル(17) (アフタヌーンKC) つぐもも : 25 (アクションコミックス)
継続モノ9冊。

大今良時『不滅のあなたへ』7〜12巻

久々に買い足したのだが、めちゃくちゃ面白いな。12巻まで前世編で、13巻から現世編に突入するそうなのだが、前世編のクライマックスは本気で鳥肌が立った。13巻からどうなるか全く想像もつかないが、実に楽しみ。

嵐田佐和子『青武高校あおぞら弓道部』2〜3巻

青武高校あおぞら弓道部 2巻 (ハルタコミックス)

青武高校あおぞら弓道部 2巻 (ハルタコミックス)

青武高校あおぞら弓道部 3巻 (ハルタコミックス)

青武高校あおぞら弓道部 3巻 (ハルタコミックス)

タイトルから一目瞭然のとおり、弓道部漫画。

アメリカ帰りで「開示されていないエピソードがありますよ感」満載で影のある主人公だけが際立っていたのだが、顧問や仲間も増えて、やっと部活動らしくなってきた。まあ確かに、弓道は自分と向き合うって感じがするから、どこまで行っても個人競技なのだろう。その中で、部活動漫画として、どこまで盛り上げていけるか。面白い挑戦ではある。

この作者については『鋼鉄奇士シュヴァリオン』の頃から注目していたので、本作でブレイクしてくれると良いんだがなー。

朱戸アオ『インハンド プロローグ』全2巻、『インハンド』1〜3巻

[まとめ買い] インハンド

[まとめ買い] インハンド

いわゆる医療ミステリというジャンルになるのだろうか。

主人公は、寄生虫を専門とする科学者だが、かゆみ止めの薬で若くして莫大な財産を築き、アーリー・リタイヤみたいな感じで悠々自適の研究生活を送っている。また右手が義手なのだが、右手を失った詳しい経緯は今のところ明らかになっていない。金もある上に性格も飄々としており、興味のない案件には一切関わろうとしない。しかし一旦関わった案件では法や倫理を無視して強引な手法で証拠を手に入れる等、真実に一直線に突き進むタイプである。

なお、安定の医療モノ・ミステリモノだし、キャラも立っていてドラマ向きだなーと思っていたのだが、いま調べたら2019年にドラマ化していた(笑)

原作である漫画版もかなり面白いので、興味のある方は是非って感じかな。

田素弘『紛争でしたら八田まで』1巻

紛争でしたら八田まで(1) (モーニング KC)

紛争でしたら八田まで(1) (モーニング KC)

  • 作者:田 素弘
  • 発売日: 2020/03/23
  • メディア: コミック
主人公は「地政学リスクコンサルタント」という謎の職業を名乗る若い日本人女性。

いや、今「謎の」と書いたけどわたしは職業柄ちょっとだけわかるんだけどね。リスクコンサルタントと呼ばれる生き物は、ものすごーく乱暴に分けると、大体3種類ぐらいに大別されるような気がする。一つ目が、金融工学や管理会計の知識を活用した金融リスク・ファイナンスリスクの専門家。二つ目が、情報セキュリティや内部統制に係る専門家。ハッカーの不正侵入に対処したり(サイバーリスクと言う)メールの解析したり(フォレンジックと言う)とかも広い意味ではこの人たちである。そして3つ目は、いわゆるインテリジェンスと呼ばれる分野で、地政学リスクの調査だの紛争解決だの犯罪対策だの企業の不正調査に係るスパイ活動だのみたいなことをやったりする専門家。マネーロンダリング対策とかは今AMLと呼ばれて2つ目と3つ目の中間みたいな領域だし、細かく言い出すとキリがない上、乱暴すぎて専門家に怒られそうだけど、まあ大体こんな感じの人たちがいますと。

で、主人公は完全に3つ目の領域の専門家である。体を張って、現地で紛争解決や、紛争まで行かずとも荒事対応なんかをやったりする。

まああんまり難しいことを考えずとも、要は若くて尖った女性版の『MASTERキートン』とか『パイナップルARMY』みたいな作品が読めると思ったら良いかもしれない。

個人的には大好物のジャンルで、ぜひ長く描き続けてもらいたい。

野田サトル『ゴールデンカムイ』21巻

20巻でなかなか劇的な再開を果たしたが、21巻はちょっと箸休めというか小休止というか。

ストーリー自体は展開しているのだが、主人公とアシリパが噛み合っていない。主人公とアシリパは長らく顔を合わせていなかったから。

今後に向けて、お互いの認識を合わせていく過程というのも必要だろう。

皆川亮二『海王ダンテ』1〜9巻

皆川亮二の大航海ロマン巨編って感じ。

巨大な図鑑よりも更に2回りぐらいデカい不思議な「本」が主役。主人公は、この世のあらゆる理を示した謎の本「要素エレメント」を、主人公の幼馴染(仲は悪い)は思い描くどんな物でも設計できる謎の本「構成ビルド」を、幼馴染の兄(幼馴染と仲が悪い)はあらゆる病や傷を癒し死者さえも復活させる謎の本「生命ライフ」を持ち、18世紀を舞台に世界中を冒険している。

本作のゴールは何なのかと問われたら正直よくわからないのだが、まあ面白いしスカッとするからとりあえずもう少し読み続けるかなって感じ。

まあスカッとするという意味では、皆川亮二は既に『ADAMAS』という傑作を生み出しているんだけどね。下を読んでもらえば、それがわかると思う。

incubator.hatenablog.com

山口つばさ『ブルーピリオド』7巻

ごくフツーの特に夢も将来展望もない流され高校生だった主人公が、急に美術に目覚めて東京藝術大学を目指す……というストーリーだったが、6巻で遂に合格! 7巻からは藝大篇に突入! ということでかなり期待していたのだが、うーん、何となく拍子抜けというのが正直なところ。

美大・藝大は2浪・3浪は当たり前で、4浪以上の方も珍しくないと聞く。そこでわたしが何となく思っていたのは、現役合格は必ずしも良いことなのだろうか、ということだ。主人公はやたらと現役合格にこだわっていたし、藝大への現役合格が決まったときは読者として当然ワクワクした。しかし現実として、何年も必死こいてデッサンした経験は必ずチカラとして蓄積され、どこかで役に立つとわたしは思うのである。

主人公はたったの1年間しか絵を書いた経験がない。挫折らしい挫折もしていない。単にどこで挫折の経験を積むかという話なのかもしれないが、力のないまま大学に行ってもついていけないというのは、何も藝大に限った話ではない。一般の学部でもそうだし、部活動でもそうだし、企業でもそうだ。

で、あまりにもわかりやすすぎる形で、壁にブチ当たって独りでメソメソしたりヤル気をなくしたりしている。

この主人公の心の有りように、わたしは感情移入できない。

これはわかっていた話だからである。

現役合格は非常に難しいと同時に、現役合格者は修練の時間が圧倒的に不足している。主人公のように受験1年前から絵を始めましたという人間は尚更だ。

浪人していた予備校の仲間や予備校の先生は、指摘しなかったのだろうか?

物語としては当然このままで終わるはずもなく、どこかで持ち直すのだろうが、あんまり簡単に持ち直されてもピンと来ない。楽しみだが、話の持って行き方は難しくなったなと思った。