インキュベ日記

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蝸牛くも+栄田健人『ゴブリンスレイヤー外伝 イヤーワン』1〜7巻

ゴブリンスレイヤーのスピンオフ。

「イヤーワン」というのは直訳すれば1年目、すなわち若手時代や前日譚を指すのだろうか。言葉の定義が正しいかどうかは正直よくわからないが、実際この作品はゴブリンスレイヤー本編になるかなり前、まだゴブリンスレイヤーと呼ばれ始めた頃の主人公を描いた作品である。

絵柄は本編の作者と少し違うが、個人的にはあまり違和感は感じない。この辺の、スピンオフの作り方も最近の出版社側は巧くなっている気がする。

本編を面白いと思うなら、外伝である本作も面白いと思えるだろう。わたしは好き。

蝸牛くも+黒瀬浩介『ゴブリンスレイヤー』11巻

ベルセルクを思わせる復讐譚なのだが、安定して出してくれている。

仲間がどんどん出てきて、パーソナルな会話のようなほとんどないのだが、それでも戦場を何度もくぐり抜けていくことで、お互いに背中を預ける信頼感みたいなものが醸成されている。そしてただ孤独なだけの戦いではなくなっている。この辺がもう絶妙というか。

余談

ベルセルク……何気なくこの言葉を使って、数年ぶりに思い出した。

どうなったんだろうな(笑)

まあ描かない人のことはどうでも良いか……。

滝川廉治+陶延リュウ+沙村広明『無限の住人 〜幕末ノ章〜』4巻

まさか卍が幕末まで生きてるとはってところから始まる、無限の住人の続編。

絵は沙村広明とあまり違和感がなく、すげえと思うし、話も本格的だが、何か思ったより入り込めない。

あれだ、ヒロインがいないんだな。

井上純哉『怪獣自衛隊』3巻

怪獣自衛隊 3巻: バンチコミックス

怪獣自衛隊 3巻: バンチコミックス

くっそ巨大な怪物が突如深海から出てきて人間を襲うというパニックホラー。

この手の設定は、日本人が作るとゴジラ以外はB級のそしりを受ける傾向があるけれど(まあゴジラもB急なんだが)、正面から受け止めて読むとけっこう面白い。特に漫画は、特撮のようなチープさがないから、日本人が作っても世界観を上手く表現しやすい気がする。

山田胡瓜『AIの遺電子 Blue Age』1巻

  • 人間
  • 人間と同じような心と権利を有して生きているヒューマノイド
  • 人間やヒューマノイドに仕えるロボット
  • ヒューマノイドやロボットを生み出した超高度AI

という4つの知的存在がいる近未来を舞台とした、ヒューマノイドを専門に観る医師を主人公とした物語。元々『AIの遺電子』では主人公は開業医で、その続編『AIの遺電子 RED QUEEN』は開業医を辞して長編サスペンス的な話を展開してきたのだが、今回は『AIの遺電子』の前日譚であり、開業する前の大手病院に務める主人公を描いている。

正直『RED QUEEN』は風呂敷を広げすぎてピンと来なかったので、原点回帰してSF医療オムニバス漫画を描くというのは、良い選択だと思う。

山田鐘人+アベツカサ『葬送のフリーレン』4巻

最近は週刊少年ジャンプの漫画がかなりフォーカスされて「すわ、何度目かのジャンプ全盛期か」という感じなのだが、これは週刊少年サンデーで最も勢いのある作品である。でも全くこれまでのサンデーの「らしさ」を引き継いでおらず、それが嬉しさ半分、寂しさ半分。

いや、こう書くとまるでわたしが本作を否定的に捉えているように誤解してしまうかもしれないが、そんなことは全然ない。この作品自体は非常に面白い。エルフは様々なファンタジーで長命とされており、多くの場合数百年、長ければ一千年近くを美しい姿のまま過ごす。人間とエルフの寿命差をベースとした作品やエピソードは結構あると思う。しかしそれを、「寿命差のあるカップルの悲嘆」という手垢のついた素材以外で「テーマ」にまで昇華させた作品というのはあっただろうか? 唸るしかない。

オジロマコト『君は放課後インソムニア』6巻

不眠症に悩む高校生の男女が、ふとしたきっかけで校舎の上にある天体観測室で一緒に昼寝をするようになる。そしてそれがきっかけで天文部を立ち上げて真面目に部活動をするようになり、さらにはお互いを意識するようになる――という青春譚。

オジロマコトの作品は日常系というか雰囲気系というか、良くも悪くもカメラマンが近くから「観察」したような感じで、何となく登場人物の内面に深く入り込まないところがあったのだが、5巻から6巻にかけてその印象が覆された。

感情の爆発である。

わたしも泣いてしまった。

でもこの作品ももうすぐ完結だろうな。どうなるかな。楽しみ。