感想を書けていない漫画を100冊まとめて 第28弾

summary

新しく手に取った漫画50冊、以前に手に取った漫画の続き50冊。

九井諒子『ダンジョン飯』13〜14巻

完結。途中ちょっと難解になったが、改めて読み返すとバランスが取れてるなーと。アニメ版のマルシルがめっちゃ可愛くて最高。

三都慎司『新しいきみへ』6巻

完結。最初はこういう展開になると全く予想できなかったが、個人的には良い感じで終わってくれたかなと。

白樺鹿夜『北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし』10巻

完結。良くも悪くも安定しており、ほとんど何の起伏もなかったが、まあそういうものだと思えば面白かった。

山本崇一朗『それでも歩は寄せてくる』16〜17巻

完結。山本崇一朗という漫画家は「絶対こうなるよね」ってわかっててもニヤニヤしてしまう。面白かった。

山本崇一朗『からかい上手の高木さん』20巻

完結。とにかく面白かった。

コトヤマ『よふかしのうた』19〜20巻

完結。最後ちょっと難解な感じもしたが、まあ落ち着くべきところに落ちたのかな。早く次回作を読みたい。

その他……感想割愛!

A-10『ヴィラン&シュガー』、道満晴明『冒険者絶対殺すマン』1巻、餡乃雲+五條さやか+布施龍太『商社マンの異世界サバイバル』1〜3巻、伊藤一角『僕はお肉じゃない』全3巻、あべまん『のんびり村の役場猫』1巻、西荻弓絵+幾田羊『相続探偵』1巻、真鍋譲治+すかいふぁーむ『脱法テイマーの成り上がり冒険譚』1〜4巻、katoson+守雨『超!!!天才発明令嬢のパワフル領地改革』1〜3巻、ヤチナツ『20時過ぎの報告会』1巻、吉本ユータヌキ『あした死のうと思ってたのに』、ティリー・ウォルデン『are you listening?』、泥ノ田犬彦『君と宇宙を歩くために』1巻、KENT『大怪獣ゲァーチマ』1巻、魚豊『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』1〜2巻、川田大智『しようと』、螢子+あてきち+雪子『ヒロイン?聖女?いいえ、オールワークスメイドです(誇)!』1巻、金沢真之介『会社と私生活 オンとオフ』1巻、加藤清志『スパイゲームA.D.1600』1巻、まぜたま『すごい女の子がかわいいやつ』、まぜたま『女の子がすこぶるかわいいやつ』、天野実樹『ことり文書』全3巻、藤近小梅『隣のお姉さんが好き』全4巻、おみなえし『魔法使いロゼの佐渡ライフ』1〜2巻、路田行『透明人間そとに出る』、ムネヘロ『ムシ・コミュニケーター』全3巻、木曽フミヒロ+深山ユーキ『咎なスキルで無双する異世界ハーレム怪盗団』1〜2巻、売野機子『インターネット・ラヴ!』、田沼朝『四十九日のお終いに 田沼朝作品集』、渡邉ポポ『ポンコツ魔王の田舎暮らし』1巻、ずいの+系山冏『税金で買った本』1〜2巻

山本崇一朗+稲葉光史『からかい上手の(元)高木さん』19〜20巻、篠原健太『ウィッチウォッチ』15〜16巻、タカハシノブユキ『パラレルリープ・シンドローム』2巻、春原ロビンソン+ひらけい『姫様“拷問”の時間です』13〜14巻、熊倉隆敏『つらねこ』2巻、水上悟志『最果てのソルテ』3巻、渡辺アカ『擬態人A』5巻、田素弘『紛争でしたら八田まで』14巻、にゃんにゃんファクトリー『ヤニねこ』3巻、安部真弘『あつまれ!ふしぎ研究部』17巻、石田スイ『超人X』8巻、井上堅二+吉岡公威『ぐらんぶる』21〜22巻、荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険Part9:ジョジョランズ』2巻、小林有吾『アオアシ』34巻、上田悟司+どぜう丸+冬ゆき『現実主義勇者の王国再建記』11巻、はんざき朝未『無能の鷹』7巻、荒川弘『黄泉のツガイ』6巻、カルロ・ゼン+東條チカ『幼女戦記』29巻、佐賀崎しげる+鍋島テツヒロ+乍藤和樹『片田舎のおっさん、剣聖になる』5巻、地主『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』4巻、山田芳裕『望郷太郎』10巻、たまはがね『見たいもの見せましょう』3巻、染谷みのる『刷ったもんだ!』11巻、荒井小豆『異世界ありがとう』5巻、おおのこうすけ『極主夫道』13巻、四方山貴史『終の退魔師 エンダーガイスター』15巻、小鈴危一+しらび+太平洋海『マイナススキル持ち四人が集まったら、なんかシナジー発揮して最強パーティーができた件』3巻、空えぐみ『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』8巻、上月亮+津覇圭一+草下シンヤ+神里純平『ゴールデンドロップ』3〜4巻、コトバノリアキ『姫騎士は蛮族の嫁』7巻、クロマツテツロウ『ドラフトキング』17〜18巻、たらちねジョン『海が走るエンドロール』6巻、クロマツテツロウ『ベー革』5巻、久部緑郎+河合単『らーめん再遊記』9巻、錬金王+Kuron+るれくちぇ+成瀬ちさと『転生貴族の万能開拓 【拡大&縮小】スキルを使っていたら最強領地になりました』8巻

薬味紅生姜+まさなん+B-銀河『エロいスキルで異世界無双』1〜3巻

主人公は、異世界転生した際に「スキルコピー」だの「パーティー内でのスキル共有化」といったレアスキルを獲得し、その辺のスキルを上手く使って「なろう系」でありがちなハーレム展開で無双しながら世渡りしていくという話。

まあ面白いんだが、この葛藤や苦労がない感じは、正直だんだん食傷気味になってきた。結局、無双するだけなんだよな。タイトルがそうなっているわけだから「タイトルに偽りなし」ではあるんだけどね。

結城鹿介+髭乃慎士『社畜が異世界に飛ばされたと思ったらホワイト企業だった』5〜9巻

タイトル通り。

本作に出てくるほどのブラック企業もホワイト企業も、なかなかお目にかかれないとは思う。

しかし近いレベルの企業はどちらもあって、まあブラックよりはホワイトの方が良いよなあ。

これを「ギャグ漫画」として受け止められない人がいるということは、まだ働き方改革は途上なのかもしれない。

岡叶『ヤンキー君と科学ごはん』1〜3巻

この手の「料理」と「ちょっとだけ変わった家族関係」というモチーフの結びつきは、仕立てやすいのかな。

『甘々と稲妻』という大傑作があるのだが、それ以外にも幾つも思いつく。

本作もその一環である。

群雄割拠の料理漫画と家族漫画の悪魔合体で、最早これ自体がひとつのジャンルなんだろうな。

面白い。

杉浦次郎+うめ丸『ニセモノの錬金術師』1〜2巻

『僕の妻は感情がない』などを描いている杉浦次郎が、「漫画を描く仕事」の気晴らしに漫画を描いてそれを無料で公開。わたしも読んだのだが、かなりラフな絵柄――というか、ネームに毛が生えた程度の書き込みであるにも関わらず、もうとにかく掛け値なしに面白かった。それもあってネットではかなり話題に。

それが数年前か。

incubator.hatenablog.com

で、うめ丸という作画をつけてリライトして商業出版したと。

上記の杉浦次郎の絵は、雑というかラフではあったものの、独特の魅力や色気があった。したがって本作(リライト版)の連載開始時や1巻発売時は「ラフ版の方が良い」だの「魅力が失われた」だのといった予想通りのコメントが多発し、わたしとしては書き手が可哀想だなと薄ぼんやり思っていた。

わたしの考えを明確にしておくと、このリライト版は今のところ大成功だと思う。

まず第一に、わたしが思ったのは、日本橋ヨヲコの傑作『G戦場ヘヴンズドア』の一幕だ。

そもそもの世界観やストーリーがおもくそ面白いんだから、作画に集中すれば良い。その結果、仮に杉浦治郎にしか出せない絵柄の魅力が喪われたとしても、安心して失敗すれば良いと思う。その分、解像度は上がったし、うめ丸にしか出せない魅力もある。ヒロインやサブキャラがキュートなのも良い。

続きが楽しみすぎるので、どんどん猛スピードで描いてほしい。

おかざき真里『胚培養士(はいばいようし)ミズイロ 不妊治療のスペシャリスト』1〜4巻

不妊治療時に人工授精させたり受精した卵子を育てたりと、まあそういう専門家を「胚培養士」と呼ぶらしい。

これ考えさせられるなあ。

わたしは女性でもないし、結婚してもいないから、そもそも不妊に悩む人たちの悩みの10%もわかっていないのだとは思うが、なるほど、色んなケースがあり、色んなドラマがあるんだなと。

鎧田『神奈川に住んでるエルフ』1〜3巻

エルフの生態をユーモラスに描く漫画というのがなぜかジャンル化しつつある。

これもその一環ということになるのだが、なぜかエルフたち(正確にはドワーフなども含む)は神奈川だの横浜だの湘南だのと「地名あるある」と悪魔合体して、何とも言えない面白さ。

午前の緑茶+あたる+葛坊煽『俺は知らないうちに学校一の美少女を口説いていたらしい』1〜4巻

高校では本好きで地味なメガネ男子が、実はメガネを外すとイケメンで、学校に隠れてバイトをする。一方、学校一の美少女として名高いが塩対応でも有名なヒロインが、やはり学校に隠れてバイトをする。バイト先ではメガネを掛けており綺麗だけど地味な先輩という体。高校では2人の間に微妙な接点があるんだけど、バイト先で同一人物であることにお互い気づかない。そのうち、男子側がバイト先で(同一人物であるとは気づかず)学校一の美少女との恋の相談を始めるわけだが、ヒロイン側は途中で2人が同一人物であることに気づいて――という展開。というか設定。

ありえないだろう。

もうそういうシチュエーションプレイとして読むしかない。

絵柄もストーリーも丁寧なのだが、初手の設定がもう現実離れし過ぎていて、ねえ。

朝賀庵『聖くんは清く生きたい』1〜3巻

生徒会長の主人公は(一応)ノーマルなのだが、地味〜な庶務のメガネっ娘はメガネを外すとドSになる二重人格者で、彼女の暴発を防ぐために、ドMじゃないんだけどドMとしてのプレイを求められるようになる。一方、副会長の女子はドMで、やはり彼女のために、ドSじゃないんだけどドSとして振る舞うことを求められる――という巻き込まれ型のエロコメディ。

他にも、芸術のためにエロを追求する美術部員の女に巻き込まれたり、結婚できないストレスをSNSにエロ自撮りを投稿して発散していたアラサー看護教師に他撮りの面白さを教えたりと、意外な角度で変態たちと関係を築いていく。

主人公自身、かなりのケイパビリティがあるが、そろそろネタ切れになるのだろうか。

もっともっと色んなシチュエーションが山盛り出てくると面白いんだが。

旋川ユウキ『バーナード嬢曰く。』7巻

一言で説明すると「本好きな高校生の他愛ない会話を切り取った漫画」ということににあるが、これがエモい。

説明しやすそうでいて、読まないとわからないタイプの漫画かもしれない。

本好きは首肯すること多し。

猪熊ことり『婚活バトルフィールド37』3巻

これ順調に面白いなあ。

婚活は戦いであるというコンセプト自体は容易に思いつきそうだが、婚活事情に詳しいというのはすなわち婚活で勝ち抜けてない=未婚であるというロジックが、なるほどという感じでこれは面白い。キャラも立ってる!

さのさくら『ただの飯フレです』2巻

メフレ(飯フレ)というのは、セフレを思わせてどうにも変な感じがするが、これ、めっちゃ欲しい。

わたしは結婚する気もないし予定もないし、特段のパートナーもおらず、それで特に不満もない。

しかし飯は別である。

たまに良いものを食べたかったり、焼き肉を食べたかったりしても、一人だと難しい。

気兼ねなく飯だけ食って、楽しく喋るだけの友達が欲しい。

男だけでなく女でも良いし、店の雰囲気的に女の方が良かったりすることもある。

本作は結局、何だかんだで最後は恋人になるんだろうなって気がするけど、本当に、「ただの飯フレ」が欲しいと思う。

笠原真樹『夢なし先生の進路指導』2巻

夢に憧れる生徒を、教師によるゲンジツテキな指導で我に返らせるというコンセプトというか設定の漫画。

1巻は短めの小気味良い感じのエピソードだったが、2巻はメンズアイドルという長編。

これがもう痛々しくて、ウシジマくんかよってレベルの展開。

そもそもアイドルって何なんだという話があるが、吉田豪だったか誰かがアイドルを「人気が実力を上回っている状態」を定義していて、それがわたしの中では凄くしっくり来ている。つまりファンが演者を支えることで、実力以上の売上や、実力以上のハコでのライブ、実力以上のドラマ出演などを果たすという構図だ。そんなもんだろう/いやそうではないと思われるかもしれないが、冷静に考えると、通常の俳優や歌手では(多少はアイドル要素もあれど)ベクトルが逆になる。つまりその売上やハコに相応しい実力があるから皆がワーキャー言って買うという当たり前の構図なのである。

もちろん今の日本のアイドルは違う。人気と実力が伴っていないから、ジャニーズ枠みたいなものが出てくるわけだ。

こう考えると、昔のアイドルは、歌がくっそ下手な人も多かった。そこら辺のカラオケで歌う男女の方が巧いとかね。

一方、この手の「買い支え」には、買う側が夢を見なければならないから、処女性みたいなものもついて回る。付き合っちゃ駄目みたいなね。

この10倍以上語れるし語りたいのだが、ひとまず本作に話を戻すと、この地下アイドルというのは、非常に罪深い仕事だなと思った。

推し活だの何だのと言っているが、要するに、ホストと同じである。演者を実力以上に持ち上げるための仕掛けがあり、その仕掛けに乗らせるための色恋営業がある。本来、CDなんて1枚買えば良いし、握手だってファンサービスでやる程度のものなのに、握手券、チェキ券などというものが存在すること自体、運営も揃って糞だということだ。

好きなら良い?

好きでやっているんだから放っとけ?

まーそうかもね。わたしはその人たちを救うべきというほどの善性はない。ないけど、醜いと思う。これは美意識の問題なのである。