KAKERU『ふかふかダンジョン攻略記』4巻

作者の魔物や中世の武具についての考えをひたすら聞かされる漫画。

こう書くと実につまらなさそうに思えるが、それで実際けっこう面白いってのがね。

でも『科学的に存在しうるクリーチャー娘の観察日記』との差が正直あまりないので、個人的には2つやる必要性は感じない。

泉朝樹『見える子ちゃん』5巻

見える子ちゃん 5 (MFC)

見える子ちゃん 5 (MFC)

  • 作者:泉 朝樹
  • 発売日: 2021/03/22
  • メディア: Kindle版
幽霊的なものが見える女の子が、とことん「見えないフリ」をすることで、幽霊的なアレに襲われたりする苦境を乗り切るという出オチ漫画。最初にこの設定に触れたときは衝撃を受けたし、今でも面白いんだが、何となく出オチ感が拭えない。

作者的にも色々と周囲のキャラクターや設定を追加しているんだが、この読後感は何なんだろうなあ。主人公がどこまで行っても「見えないフリ」をする以外のことをしていないから、出オチ感が拭えないのだろうか。

でも主人公が能動的に問題に対処してしまうと他の作品と差がつかなくなるし、一気にクライマックスになだれ込んでしまう気もするので、その塩梅が難しいな。

ジョージ朝倉『ダンス・ダンス・ダンスール』20巻

若くして亡くなった父親の影響でジークンドーが大好きだと「思い込んでいた」少年が、実は胸の中に秘めていたバレエへのどうしようもない憧れをふとしたきっかけで思い出す。そして類稀な才能が周囲を動かし、バレエにのめり込んでいく――そんなアウトラインのバレエ漫画。

もう20巻か。気づいたら『溺れるナイフ』全17巻を超える長編だ。まだまだ長くなりそうで、どこまで続くか想像もつかんな。

田村由美『ミステリと言う勿れ』8巻

頭がポワポワで友達のいない変人の青年が、事件に巻き込まれ、解決する話。

衝撃を受けつつ、この手の漫画でどうしても解決できない違和感というかお約束が、そんなに事件に巻き込まれないよねっていう。コナンの登場人物まで突き抜けると(おそらく)キャーと叫んだ3分後にはカップラーメンすすれるぐらいなんだが、普通は色々と悶々としたりするわけで。この作品は、過去の事件の関係者が(友達のいない)主人公と絶妙な距離感で繋がっていて、上で書いた違和感というかお約束が、ギリギリのところで違和感がない感じになっている。

あと、病院の女の子の秘密というか何というかが、絶妙に切なくて、もう。ととのう、絶対何かしらやらかしてほしい。

真鍋昌平『九条の大罪』1巻

九条の大罪(1) (ビッグコミックス)

九条の大罪(1) (ビッグコミックス)

  • 作者:真鍋昌平
  • 発売日: 2021/02/26
  • メディア: Kindle版
『闇金ウシジマくん』作者の最新作だが、今度は弁護士である。

いわゆる悪徳弁護士とは少し違うようなのだが、当然、闇社会に通じた弁護士だ。

なかなか刺激の強いシーンもあり、『闇金ウシジマくん』同様その手の耐性がない人は読んではならない。

真鍋昌平+速戸ゆう『闇金ウシジマくん外伝 肉蝮伝説』1〜10巻

濃ゆいキャラが揃っている『闇金ウシジマくん』の中でも、わたしは「肉蝮」が個人的に最もキャラが立っていると思っていたのだが、世間的にもそうだったようで、スピンオフ作品がもう10巻も出ている。

本編以上に暴力描写が物凄くて、いやもう、ここは北斗の拳の世界かってぐらいの凄さ。

暴力描写に耐性の無い方は絶対に読めないが、そうでない人はこの衝撃を味わう価値はあると思う。

木尾士目『はしっこアンサンブル』6巻

4〜5巻と凄く面白かったのだが、気づいたらサブキャラ同士の合唱対決みたいな話になって、個人的にはイマイチな展開。

作者的には思い入れがあるんだろうけど、サブキャラ同士でやり合う展開はどうも好きになれない。

柏木ハルコ『健康で文化的な最低限度の生活』10巻

生活保護という切り口で現代社会を切り取った良作。

9巻から貧困ビジネスをテーマにしているが、これまた色々と考えさせられる。そもそもどうやって生活保護の人から金を巻き上げるんだろうと思っていたが、本作や『闇金ウシジマくん』を読むと、いろんな手口があるんだなーと。けど急に知的障害者の話を差し込んだのはちょっと唐突感があった。確かに軽度の知的障害者が貧困ビジネスや、風俗産業などで搾取されるという話は考えられるけど。

大槻閑人+子鹿ゆずる『アンメット ーある脳外科医の日記ー』1巻

海外帰りの脳外科医と、1日しか記憶の持たない女性医師を中心とした医療漫画。

1日しか記憶が持たなくなってしまったため(常識的な判断として)その医師には簡単な事務作業しか任せていなかったのだが、実は記憶は持たなくても練習した技術は保持されるそうで、海外帰りの脳外科医は細かな血管の縫合なども彼女に任せる。それが良いことなのかどうか正直わたしにはよくわからないのだが、目が離せない展開なのは事実。

東元俊哉『プラタナスの実』1〜2巻

プラタナスの実(1) (ビッグコミックス)

プラタナスの実(1) (ビッグコミックス)

  • 作者:東元俊哉
  • 発売日: 2021/01/29
  • メディア: Kindle版
プラタナスの実(2) (ビッグコミックス)

プラタナスの実(2) (ビッグコミックス)

  • 作者:東元俊哉
  • 発売日: 2021/03/30
  • メディア: Kindle版
かつて医療の合理性のために小児科を閉鎖した総合病院の病院長。その結果、小児科医だった妻や、2人の子供とも大きな溝を残してしまう。

それから10年以上が経ち、その病院長は総合病院を手放し、北海道の北広島市で、地域の小児科医療を本気で支える小児科を作ろうとする。そして小児科医として働く2人の息子に声をかける――というプロローグ。

なお、説明の都合上「父親視点」で書いたが、実際は下の息子が主人公である。絶縁して15年も会っていない父親から手紙が来る。その父親は、かつて自分が切り捨てた小児科医療を始めようとして、小児科医である自分に声をかけてきた……息子視点から見ても、なかなか予断を許さないストーリーだ。

けっこう面白い。

真鍋昌平『闇金ウシジマくん』23〜46巻

以前、漫画喫茶で22巻まで読んでいたのだが、最近Kindleで全巻まとめ買い&一気読みした。

丑嶋馨が経営する「カウカウファイナンス」に金を借りにくる客を中心とした、社会の底辺の人間模様を描いた漫画なのだが、カウカウファイナンスは闇金である。金利も10日5割(トゴ)というとんでもない利息だ。しかし表の消費者金融などから借りれない人たちにとっては、こうした闇金が無いとそもそもお金の都合がつけられないわけで、表の消費者金融と違って記録が残らなかったりと、実は借り手にとっては良い面もある。

「必要悪」だのと通損論をぶつつもりは全然ない。なんか色々と考えさせられる。

しかしあれだ、読んでいて強く思ったのが2点で、まず汚い部屋がリアルだということ。もうひとつは、拷問シーンがめちゃくちゃ痛そうだということ。アキレス腱をペンチのようなもので切ってしまうところとか、想像した瞬間マジで寒気のようなものが襲ってきて、タマヒュンになった。

ヨンチャン+竹村優作『リエゾン ーこどものこころ診療所ー』4巻

非常に丁寧に作られた医療漫画。

小児精神科医というニッチなジャンルだが、考えさせられることも多い。おすすめ。

泰三子『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』16巻

元警察官による、交番の警察官あるある漫画。

お仕事あるある漫画がここまで面白くなるかというある意味エポックメイキングな作品であり、もう何度読んでも笑えるし泣けるしで、はっきり言って嫌いだった警察官に関する印象が一変した。チョロい? まあチョロいかもしれんが、面白いから良いんです!

赤坂アカ+G3井田『かぐや様を語りたい』1〜4巻

『かぐや様は告らせたい』のスピンオフ作品。

一昔前のスピンオフは、シリアス作品を4コマにしてキャッキャする程度の非常に雑なスピンオフが多かったが、最近は質の高いものも増えている。

本作もけっこうよく練られていて、本編であまり着目されていないキャラのサイドストーリーが読めたりして、ほんとよくできているなと思う。

安田剛助『姫ヶ崎櫻子は今日も不憫可愛い』1巻

『じけんじゃけん』で極私的最高ランクの漫画家にのしあがった安田剛助の最新作。

今回は、主人公カップルの当て馬として雑に扱われる「負けヒロイン」にスポットを当てた作品。わたしは本作で「負けヒロイン」という言葉を初めて知ったのだが、調べてみるとオタク界隈では確かにそんな言葉があるようだし、この手の位置づけのキャラは実際よくある。主人公カップルにお互いを意識させ、やきもきさせ、彼ら(彼女ら)のアプローチで良い思いもして、恋敵を倒すために成長もさせ、果ては最後に友情まで結んでしまうことすらある完璧超人である。

主人公・姫ヶ崎櫻子はまさに屈指の負けヒロインと言って良く、上記は当然のこと、雑なお色気エピソードも多々あり、もう最高。