別冊COMIC BOX vol.2『「もののけ姫」を読み解く』

コミックボックスという「まんが・アニメーションの評論・情報誌」の別冊版。

本書では宮崎駿のインタビュー・著作・文献などを用い、歴史学や民俗学の考え方も駆使して多彩な視点から『もののけ姫』を読み解いている。本書を読むと、『もののけ姫』で何が語られ、何が語られず、宮崎駿が何を本当に語ろうとしたのか、その一端が垣間見える。『もののけ姫』はエンターテイメントなのだから、そんなことを考えなくても充分に楽しめるとは思う。しかし同時に「単なるエンターテイメント」の枠にはめてしまうのも少しばかりもったいないという気持ちもある。「少年少女に愛される作品を作るジブリ」というステロタイプに満足してしまいがちではあるが、宮崎駿は意外と強烈な毒を孕んでいるし、強烈なメッセージも発信しているのだ。

それにしても宮崎駿は凄い作家だ。改めて感心してしまう。何でも宮崎駿の新作発表があったらしく、自分の中で勝手に宮崎駿ブームが再燃してしまい本書を読んだのだが、今度は『もののけ姫』そのものが観たくなってしまった。少し前に観たばかりなんだけど……。

追記

なお本書は、編集の都合で各章の順序がバラバラになっており、サブタイトルも大幅に変更され、さらに校正も間に合わず誤字・脱字が多かったとのことで、下記のリンク先では、各種修正を施して「完全版」としてアップしていた。しかし現在は削除されているようで、以前アクセスできたURLにもアクセスできなくなっている。

incubator.hatenablog.com

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参考

宮崎駿の創作論 ―または・再構築作家・としての肖像―
宮崎駿論(もののけ姫以外の評論も載っている)
高畑勲・宮崎駿作品研究所