タック川本『ここがヘンだよ、日本のプロ野球』

うーん、やたらと大リーグ礼賛が多いなあ。日本の野球のどんな問題点も「大リーグはそんなことなくて素晴らしいんだよ」に繋がっていく。必死に巨人一極化の批判をしているのは嬉しいけど、それも結局は大リーグ礼賛に繋がる。いくら自分がエンゼルスで働いてるからって、それじゃあダメでしょ。

ただ、ミスター批判をしているのはとても立派だ。ミスター批判はタブーのようになっていて、雑誌やスポーツ新聞は知らないがテレビで批判されることは全くないと言っても良い。去年のオフ、マスコミは無邪気にも「ON対決」などと騒いでいたが、若者や過去の名声に溺れない野球ファンは圧倒的に白けていた。その「感覚のズレ」がマスコミには全くわかってないのだが、著者は外部から冷静に眺めているので、よくわかっている。もっと声高に言ってやってほしい。ON対決と言われたって別に面白くないんだよ、と。

ちなみに「大リーグで活躍できる日本人選手リスト」といった趣の格付け企画があるが、これはわりと面白い。かなり感覚的で「ほんとかいな?」とは思うが、ヤクルトの土橋の評価が高いのは面白かった。立ち読みでも良いから、自分の好きな球団の評価を見てみるのも一興だ。ちなみに俺の好きな広島では、金本・緒方・前田の評価はイマイチで、野村や黒田の評価がかなり高く、佐々岡は松坂や松井と並んで最高評価だった。