ポール・ストラザーン『90分でわかるロック』

例によって俺の大好きな「90分でわかる」シリーズである。今回は最新刊。これで、ついに翻訳されている全ての「90分でわかる」シリーズを読み終えたことになった。プラトン、ニーチェ、デカルト、カント、ヴィトゲンシュタイン、キルケゴール、サルトル、マキアヴェリ、ロック、アインシュタイン、ホーキング、ガリレオ、オッペンハイマー。何だかんだと言って本当によく読んだ。

ロックは「イギリス経験論」と呼ばれる哲学への流れを作った人である。哲学に詳しくないような人でも、世界史で「ジョン・ロック」という名前を聞いたことはあるだろう。そう、今回の「ロック」と世界史の「ジョン・ロック」は同一人物だ。だから、「哲学者」として認識されているかどうかはともかく、ロック自体の知名度はプラトンやニーチェに匹敵する。

「経験」から学ぶこと、常識(コモン・センス)の感覚を大事にすること、自由な民主主義――ロックはそういったことを主張した。今では全て「当たり前」になってしまった事柄であるが、中世が色濃く残る当時のイギリスでは、とてもアヴァンギャルドな主張だったのである。今となっては、結局ロックの言うことは全て「当たり前」になった。それだけロックが「凄い」ということなのだろう。