村上春樹『羊をめぐる冒険(上)』

『風の歌を聴け』と『1973年のピンボール』に続く、鼠三部作の完結編である。先だって感想を書いた『風の歌を聴け』と『1973年のピンボール』は断章形式であり、雰囲気とモチーフ主体であったのに対し、本作では初めて長い物語が綴られる。本作以降、村上春樹は粘り強いストーリーテラーへと進化することになると俺は思う。その意味では、鼠三部作の完結編ということ以上に本書は記念碑的な作品なのだという印象を俺は持っている。初めて物語らしい物語が動き始めたこともあり、客観的にも評価が高いそうである。なお内容については、『羊をめぐる冒険(下)』のインキュベ日記に譲りたい。

incubator.hatenablog.com