大澤真幸『社会学のすすめ』

社会学の入門書。社会学の入門書には「用語説明的なもの」「社会学独自の考え方(あるいは社会学的発想)を説明したもの」「社会学的な視点から現実的な問題を論じたもの」など色々あるが、これは「社会学の基本主題を易しい論文の形で提示したもの」とでも言えば良いだろうか。今までに読んだ中では、わりと硬派な入門書だと思う。それだけに、やたらと口当たりの良い入門書に比べると文章は硬いが、(入門書にありがちな)あちこちに議論が拡散している感じはあまりない。

テーマは「1 私という病」「2 遊戯としてのコミュニケーション」「3 家族の未来」「4 安全性の政治」「5 都市の現在」「6 モノの見る夢、身体の語る夢」「7 社会学を駆動する問い」の7つである。社会学自体がかなり幅広いんだけど、まあ、ここで挙げたタイトルを見て何となく興味を覚えた人は、一読しても得るものがあると思う。