今田高俊 編『社会学研究法 リアリティの捉え方』

「社会学理論」「社会学の概念」「研究対象」を解説する社会学の入門書はけっこう多いのに、それらと同様に重要な「研究法」について解説した入門書は少ないらしい。つまり社会的な現実(リアリティ)の「なに」「なぜ」に答えるためには「いかにして研究するか」が決定的に重要なのに、その「いかにして」が既存の社会学の入門書では十分に触れられていない。それを踏まえて「研究法」に焦点を当てて作成した入門書が本書なのだそうだ。

社会学の研究法には、大きく分けて、個別で1回限りの事象から物事の本質を捉える「意味解釈法」、大量の統計データなどから見出される法則によって現実を捉える「統計帰納法」、普遍的に成り立つ数学的な理論法則によって現実を認識する「数理演繹法」の3つが存在する。そしてその3つの研究法にはそれぞれ長所や短所がある。そのため、それぞれの研究法の性質を理解した上で研究していくべきだ――というのが本書のアウトラインである。数理社会学の説明などは(数学を忘れている)俺には少し難しかったが、今までに読んだ社会学の入門書の中では、かなり面白い方だと思う。