いしいひさいち『現代思想の遭難者たち』

『現代思想の冒険者たち』という20世紀を代表する哲学者や思想家についての入門書シリーズ(全31巻)が講談社から出ており俺も結構な数を読んできたのだが、そのシリーズに挿入されていた漫画に多数の書き下ろし作品を加え、1冊にまとめ上げたものが本書である。この漫画を読んで、いしいひさいちは頭がかなり良いのだなと改めて思った。この手のパロディ自体、頭が良くなければ作れないと思うが、その哲学者や思想家のことをちゃんとわかっていなければ作れないネタも多かった。あまり万人には薦められないけれど、よくある「教育漫画」とは一線を画していて、知的に面白い試みである。