藤原和博『お金じゃ買えない。』

藤原和博の「[よのなか]の歩き方」シリーズ第1弾。

俺が非常に注目している藤原和博のデビュー作『処生術――生きるチカラが深まる本』及び初期著作『エネルギーを奪う仕事、もらえる仕事』『プライド――処生術2』『人生の流れを変える』の計4冊は、(出版事情や時間といった諸々の大人の事情で4冊になったが)元々は1冊の本として構想されていたそうだ。それをテーマ別に再編集・再構成した上で大幅な加筆修正を加え、新たな3冊のシリーズに生まれ変わらせたのが、「[よのなか]の歩き方」シリーズである。

本書では主に「生き方術」とも呼べるモノを紹介している。例えば、会社とどのように付き合っていけばよいのかという難しい問題がある。会社内のレールに乗っかって受動的にレースに参加すれば、確かに会社内での地位や収入は上がるかもしれない。しかし自由度や創造性は往々にして低下してしまうものだ。藤原和博は、出世レースに狂奔した挙句、接待・査定・会議(SSK業務)に忙殺されてしまうことを拒否し、自分にしか出来ないアウトプットを達成し続けるための具体的な方法論、(薄給や窓際族とは違った意味で)現場でハッピーに働き続けるための具体的方法論を提示していくのである。

藤原和博は「フェロー」という年俸契約を結ぶことで、会社内での地位やマネジメント業務から(良くも悪くも)解放され、その代わり自分にしかできないアウトプットを達成するために、現場でハッピーに働き続けている。なかなか簡単に実行できるモノではない。必読。