村上龍『啓蒙的なアナウンスメント 第1集――金融・経済』

JMM(村上龍の発行する金融や経済のメールマガジン)の対談の抜粋だが、価値ある対談集だと思う。前に本書を手に取ったときは「ちょっと経済を勉強したからって、また村上龍が良い気になって知ったかぶりしてるよ!」と嫌な気分になったものだが、小説家という先入観を取っ払って改めて読んでみると、本書もやはり、最近ちょくちょく読んでいる村上龍の他の本と同様に、有意義な論点をいくつも提示できていると感じる。

村上龍は、単純な経済事情というよりは、「経済が個人の意識にどのような影響を及ぼすのか」「個人の意識が経済にどのような影響を及ぼすのか」といった、いわば「経済と個人の意識との関係性」を問題にしているのだと思う。納得できる部分も多い。必読。