日野佳恵子『クチコミュニティ・マーケティング』

「クチコミュニティ」とはクチコミ+コミュニティを合わせた著者の造語である。クチコミが有効に機能するコミュニティ作りを売り手側が意図的に仕掛け、企業のファンになってもらうことで、愛される仕組み、モノの売れる仕組みを作ろうとする本。

「女性は男性より凄いんだ!」みたいなことを何度も書くので最初はかなりムカついた(この手の主張には一体どのような目的と正当性があるのか?)が、本の内容自体は悪くないと思う。購買層と企業を結びつけるということの重要性がわかる。ただ、クチコミ=即ヒットではなく、クチコミの成否は当然ながらコミュニティ構築だけでなく商品力にかかっているのだ、という主張は説得的だ。

ただ、本書には「クチコミと宣伝のどちらを信用するか?」というアンケートが載っているのだが、そのアンケートに約8割が「クチコミ」と答えたから、「ホラやっぱクチコミの方がスゴいんだ」みたいな安易な論理は控えるべきではないか? クチコミに興味のある閲覧者やクチコミの良さを知り尽くした自社HPの会員にアンケートしたら、そりゃあクチコミの方がスゴいって言うよ。杜撰な論理は本の価値を下げると思う。