村上龍『五分後の世界』

個人的には村上龍で最も好きな小説である。『コインロッカー・ベイビーズ』や『愛と幻想のファシズム』でも感じられた「通俗的でチープな漫画的世界観」は本書でも健在だ。『限りなく透明に近いブルー』や『コインロッカー・ベイビーズ』で感じ取れた文学性を本書から俺が感じることはない。もはや村上龍には文学性の欠片もないと思う。しかし息苦しくなるほど執拗に続けられる戦闘シーンの描写に、俺はある種のリアリティを確かに感じる。ジャンルが何であれ、心を揺さぶる何かがあれば俺は構わないと思う。俺は大好き。必読。