藤原和博『人生がつまらない人へ』

もはや俺は藤原和博の「ファン」なので、少しコメントしづらいのだが、やはり素晴らしい。本書のキーワードを厳選するならば、おそらく「コミュニティ」であろう。といっても「しがらみ」といった古臭い文脈で「コミュニティ万歳」と言っているわけではない。「自分ブランド」を見直し、守り、再構築するために、そして幸せに過ごすために、足元を再度しっかりと見つめ直すことが必要だと藤原和博は言っているのだ。

もちろんガンガン働いて金を稼ぐ生活も良いが、そうでない人は、中途半端に企業に「所属」して生きるのではなく、あくまでも地域や家族に軸足を移し、コミュニティの中で共に楽しく生きることで幸せを掴んでほしい――ということである。みんながみんな仕事に生きがいを感じられないように、みんながみんな「マインドリッチ」に満足できるわけではない。しかし、それぞれが自分に合った生き方を選択するというのは、真っ当な提案だと言えるだろう。