高岡英夫+松井浩『ワールドクラスになるためのサッカートレーニング』

「ゆる」で有名な高岡英夫の著書。高岡英夫のプロフィールやメソッドは『「余分な力」を抜けば、人生が変わる!』の感想を参照してほしい。

本書は「運動科学」を唱えるなど体の使い方のプロフェッショナルである高岡英夫とスポーツライターの松井浩が書いた、サッカーにおける効果的な肉体の使い方とトレーニング法の本である。専門的な本であるが、読みやすい文体と数十枚の写真によって、門外漢の人が読んでも理解でき、トレーニングを実践できるようになっている。

本書の写真や説明を読むと、日本人選手と海外の一流選手との間には筋肉の使い方に明らかな差が見て取れる。ジダンやフィーゴ・アンリといった超一流プレイヤーは太ももの裏側の筋肉(ハムストリング)を使ってプレーしているのに対して、世界レベルでないプレイヤーは太ももの表側の筋肉(大腿四頭筋)を使ってプレーしているのだ。もも裏の筋肉はアクセル筋と呼ばれ、推進力を生み出す筋肉で、もも表の筋肉はブレーキ筋と呼ばれ、グッと踏ん張るための筋肉である。しかし一般人や世界レベルでないプレイヤーはもも裏の筋肉をなかなか巧く使うことができず、もも表の筋肉が走るときも使われているのである。もも裏の筋肉(ハムストリング)をきちんと使えるかどうかが、超一流プレイヤーとそうでないプレイヤーの差を生み出す――というのが本書の一番のポイントであろう(ポイントは全部で4つある)。

前半が筋肉や肉体の使い方についての講義で、後半が体の潜在力を引き出すためのトレーニング法の紹介だ。「ゆる」などは前掲の本でも取り上げられているが、ハムストリングや腸腰筋を鍛えるトレーニングなどが本書では紹介されている。しかし、前回も書いたが、ゆる体操が全然ピンと来ない。本書は絵だけでなく前園の写真入りなんだが、それでも出来ない。俺の体はカチカチで、全然ゆるんでいないということだろう。