ブレイクアウト!―ハーバード・メディカル・スクールが教えるNo.1自己啓発原則
- 作者: ハーバートベンソン,ウィリアムプロクター,Herbert Benson,William Proctor,宮崎伸治
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2004/11
- メディア: 単行本
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ブレイクアウト原則とは、従来の精神的パターンを断ち切り(たとえ強いストレス状態のときやトラウマがあるときでさえ)、次のような恩恵を得る可能性を高める強い刺激のことである。
- 鋭敏になる
- 創造性が高まる
- 生産性が高まる
- 最高のパフォーマンスができる
- 精神的に成長する
そしてブレイクアウト原則は、次のような四段階のプロセスからなるそうだ。
- ブレイクアウトのプロセスは精神的・肉体的苦闘(ストラグル)から始まる
- 第二段階はブレイクアウトの引き金を引くことである
- 第三段階ではピーク体験とともに、ブレイクアウトが生じる
- ブレイクアウトのサイクルは第四段階で終わる。それは、“ニューノーマル”の状態(一段階向上したレベルが普通のレベルとして定着した状態)のことである
……わかったようなわからないような感じかもしれないので、俺の言葉で説明を続けたい。つまり、人はしばしば困難な状況に見舞われる。努力しても、なかなか情況が好転しなかったり、不安やストレス状態から脱却できなかったりすることもある。しかし、精一杯努力していることが前提となるが、困難や苦痛や不安やストレスを導くような思考回路を断ち切る(これを「引き金を引く」と本書では呼ぶ)ことで、まるで霧が晴れるように、思いもよらなかった解決策や状況の好転が生まれることがある。それをブレイクアウトと呼んでいるのである。
引き金の引き方、つまりブレイクアウトの起こし方は、人によって様々である。しかし原則は1つであり、ストラグルな状況に付随する精神的パターンを断ち切ることだ。好きな音楽を聴いたり、瞑想したり、熱いシャワーを浴びたり、単に諦めてどうでも良いやと気楽になったり、宗教的な言葉をつぶやいたり。ブレイクアウトは身につけられるスキルであり、自分にとっての引き金を見つけ、ブレイクアウトの発生に習熟することで、人は今までよりもベストパフォーマンスを効率的に出せるようになる――というのが本書の主張である。
実際に本書を読んでみないと、あるいはブレイクアウトの経験がないと、ピンと来ないかもしれない。読まず嫌いな人に、無理に本書を推薦しようとも思わない。ただ、今まで雰囲気的に語られてきたことを科学的に実証した本だと好意的に捉えれば、意外と原理原則に適った本なのかなと俺は思う。多くの人が一度くらいはブレイクアウトらしき経験をしてきているのではないだろうか?
実際、俺は何度かブレイクアウトと思しき経験がある。例えば、小学校で習ったスイミングスクール。実は当初どうしてもクロールの息継ぎがマスターできなかった。週2回通っていたし、努力もしていたのに、下手したら半年間くらいはマスターできなかったと思う(大げさか? よく覚えていないが、でもイメージとしてはこれくらい長かった)。そんな時、俺はインフルエンザか何かのヒドい風邪で1週間ちょっと学校を休んだ。スイミングスクールも大事を取って半月くらい休んだ。やっと体調が回復した時には、病み上がりで月に1回の試験の日である。クロールの息継ぎの試験、どうせ今日も不合格だろうな、まあ良いか、病み上がりだし……と思って試験に臨んだら、急に何となくクロールの息継ぎができるような気になり、そして実際クロールの息継ぎをほぼ完璧に行えたのである! 風邪ひいて家で寝てただけなのに!?
当時は、その奇跡(?)を「筋力が戻っておらず、体の余分な力が抜けてスムーズなフォームになった? ラッキーラッキー!」と幼いながらも理解した。そういった側面も確かにあると思うが、これは確かに一種のブレイクアウトであろう。この経験はブレイクアウトのメカニズムを完全に踏襲しているからだ。