小南俊一・谷守正行『BSCによる銀行経営革命』

中小・地域金融機関にバランススコアカードを導入して、経営改革を行うための本。勤務先に言われて読んだのだが、なかなかわかりやすく、刺激を受ける本だった。
ただ、前に何かの本か雑誌で、そもそもバランススコアカードというものは、財務一辺倒の業績評価に広がりを持たせるために導入が進んできたものであり、リスク管理も収益管理もコスト管理もできていないような金融機関は、バランススコアカード云々の前に、収益管理やリスク管理の仕組みをきちんと作ることから始めるべき――という主張を見かけたことがある。確かに一理あるかもしれない、とも思う。
まあ地域へのコミットメントコストという概念もあるし、地域・中小金融機関(あるいは金融機関で働く人たち)を財務的視点だけで評価するのは確かに難しい。何にせよバランススコアカードは奥深いテーマだし、興味深いテーマだ。今けっこう広がっているが、今後、中小・地域金融機関にもバランススコアカードは今以上に広がっていくのだろうか。