
- 作者: 本多勝一
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2004/10/09
- メディア: 単行本
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本書の良さは、精神論や心得といったものと無縁なところにある。本書で扱うのは実用的な文章であり、詩歌や小説などを対象にしない。そのため、本書で述べられる事柄の目的は「読む側にとってわかりやすい文章を書くこと」であり、それらの事柄は「技術」として学習・伝達可能なものとして示す――といった風に本書の狙いを定義して、わかりやすい文章を書くためのポイントが明快に示されている。
「かかる言葉と受ける言葉」のおさらい
- 文章の長さは、わかりにくさとは関係ない。
- 「かかる言葉」と「受ける言葉」は近いほどわかりやすい。
「かかる言葉の順序」のおさらい
- かかる言葉の順序には、四つの原則がある。
- 「節」を先にして、「句」をあとにする。
- 同じ「節」(または「句」)では、長い方を先にする。
- 長さが同じくらいのときは、大きな内容の方を優先する。
- 「長さ」も「大きさ」も同じときは、前後の言葉のなじみ具合で配置を考える。
「テンやマルのうちかた」のおさらい
- かかる言葉が二つ以上あるとき、その境界にテンをうつ(第一原則)。
- 語順が逆順の場合にテンをうつ(第二原則)。
- 筆者の思想としての自由なテンもある。
俺が『日本語の作文技術』から特に参考にしてきた事柄を挙げたが、特に句読点の打ち方などは非常に明解で、ふわっとしたところが無い。句読点の打ち方について、ここまで明解に示してくれた本は今まで見かけたことが無い。実際、「なぜだかわからないけれど、主語の後には点を打った方が良いように思う」などと理解している人は多いのではなかろうか? 本書を読むと、そういった感覚が妥当でないことが理解できる。
『日本語の作文技術』と同様、イデオロギー的な匂いは未だにプンプンするが、それを差し引いてもオススメである。精神論云々を抜きにして文章力をアップさせたい人には必読と言えよう。