斎藤環『ひきこもり文化論』

ひきこもり文化論

ひきこもり文化論

本書は「ひきこもりとは何か」「ひきこもりの治し方」などがテーマではなく、「ひきこもり」を端緒とする一種の文化論を集大成したもの――ということらしい。斎藤環の本は今までに何冊か読んできているので、他の著書と重複する内容も多い。
第5章は「ひきこもり」周辺のテーマで様々な媒体で書いた文章をそのまま再録したものだそうだが、ひきこもりからの回復手段として地域通貨を検討している「治療法としての地域通貨」という文章は非常に興味深かった。通過はコミュニケーションであるとか何とかいう言説を大昔に聞いた記憶があるが、一種ゲーム性のあるコミュニケーションというものはやはり大事なのだろうな。
それにしても斎藤環が参考にしたNAMのLETSは一体どうなったんでしょうか。俺も以前LETSの存在を知ったときは「こりゃオモシレー」と強く思った記憶があるが、いつの間にか影も形もなくなり、検索しても出てこなくなった。NAMに関する本は俺も2冊くらい買ったんだけどなあ。