マーク・エイブラハムズ『イグ・ノーベル賞』

イグ・ノーベル賞 大真面目で奇妙キテレツな研究に拍手!

イグ・ノーベル賞 大真面目で奇妙キテレツな研究に拍手!

イグ・ノーベル賞(裏・ノーベル賞)は「真似することができない/すべきでない」業績をあげた、世間を①笑わせ、そして②考えさせた毎年10人前後の人に授与されている。受賞者には科学者が多いが、そうでない人もいる。受賞例を挙げてみたい。

  • 医学賞
    • ダッチワイフを介在した淋病の伝染についての研究
    • 思春期における「鼻クソをほじる行動」の研究
  • 経済学賞
    • 相続税率の低下に延命効果があることの実証
  • 平和賞
    • 「平和」という名に一般とは異なった意味を与えた水爆の父
    • 原爆投下五〇周年を核実験で記念したフランス大統領
  • 恋愛と結婚に関わる受賞
    • 恋愛と強迫神経症は生化学的に区別できないことの発見
  • 基礎科学に関連する受賞
  • 人間と動物の調和を促進した発明に関わる受賞

他にも「コーンフレークがふにゃふにゃになるプロセスの物理学的考察」「ビール、ニンニク、サワー・クリームがヒルの食欲に及ぼす影響」「ミハイル・ゴルバチョフが反キリスト教徒でない確率の算出」「落下するバター・トーストの力学的分析」など、様々な意味で興味深い受賞例が数多くある。
なお、イグ・ノーベル賞は、必ずしも馬鹿馬鹿しさや笑いだけを提供するものではない。そう見えるものであっても、それぞれの個々の研究や実証は非常に真摯なものであると著者は何度も強調している。確かに広島(ヒロシマ)生まれとしては、イグ・ノーベル平和賞は見逃せない。

追記

日本は「平均値は高いが、おしなべて平凡で、独創性に欠ける」などとよく言われるが、実はイグ・ノーベル賞の受賞大国として名を馳せているらしい。