『COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)』創刊2号

COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2005年 12/15号

COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2005年 12/15号

フランスの「Courrier International(クーリエ・アンテルナショナル)」と提携し、世界の重大記事や日本のことを海外メディアがどのように報道しているのかを集めた隔週発行の雑誌。創刊2号となる今号も興味深い記事が多い。
トップコンテンツの「世界は女が決める!」では、“コンディ”ことコンドリーザ・ライス国務長官ヒラリー・クリントンの次期大統領戦出馬の可能性を中心に据えているが、とりあえずライス国務長官が見せるド迫力の表情に注目。この表情を見せられたら「もう世界も俺の人生も姉歯サンの処遇も女が決めて下さいブルブル」って感じですよマジで。ところで姉歯と言えば、海外メディアが今回の姉歯ヒューザー騒動をどのように報道しているか、非常に気になるので、今後ぜひ特集してほしい。
その他で俺が特に面白かったのは、ロシアマネーとロンドンとの蜜月関係を報じた記事であろうか。ロシアの新興財閥「オリガルヒ」たちが、今こぞってロンドンに進出しているらしい。その代表格はチェルシーFCオーナーのロマン・アブラモビッチ! もちろんロンドンに暮らす30万人のロシア人全員がアブラモビッチのように7億ポンドの購買力を持つわけではないが、キャッシュをふんだんに持っている人は相当数に上るとのこと。
ここまでロシアマネーがロンドンに進出するのは、何も彼らが買い占めるボンドストリートのブランド店や高級不動産の魅力ばかりではない。ロシア人にとって、イギリスはかなり有り難いタックス・ヘイブンなのだそうだ。他のヨーロッパ諸国では、世界中で稼いだ収入と資本利得に対して課税されるが、イギリスの税制には、国外口座を設けてそうした課税を逃れられる逃げ道があるそうだ(ロシアで高価な株を売った利益でイギリスに家を買うと課税を逃れられるとのこと)。つまり、この比較的ゆるやかな税制がロシアとロンドンとの蜜月関係の大きな理由らしい。1998年から2004年にかけて1000億円を超える資産がロシアから流出したそうだから、穏やかではない。日本でも「タックス・ヘイブン」にまつわる本が何冊も出ており、話題になったようだが、金に対する関心は万国共通と言うことだろうか。
他にも、宮崎駿や皇室騒動・日本経済の再浮上についての海外メディアの報道や、中国に呑まれつつある北朝鮮経済、『悪魔の詩』のラシュディポール・オースターの対談、インドでヨガを「ブーム」に仕立て上げたカリスマ・グルのメディア戦略、ブラジルとキューバの不正選挙問題、アイスランドの文化や気質など、ちょっと他の雑誌では見られないラインナップである。