荒俣宏『帝都物語 第弐番』

帝都物語〈第弐番〉 (角川文庫)

帝都物語〈第弐番〉 (角川文庫)

350万部も売り上げた、言わずと知れた大ベストセラーシリーズの第2巻。以前は全12巻だったようだが、阪神大震災の起こった95年、全6巻の新装合本版として刊行されている。本巻は『帝都物語3 大震災(カタストロフィ)篇』と『帝都物語4 龍動篇』を合本再編集した新装版で、大震災後の帝都復興を背景としている。『帝都物語 第壱番』で「地の龍」を暴れさせて大震災を引き起こそうと暗躍した魔人・加藤保憲は、本作で「天の龍」を捕らえ、帝都を破壊せんと目論む。「天の龍」とは何か? それは読んでのお楽しみ。
アラマタも「まえがき」で述べているが、本書は『帝都物語』中のハイライトとも呼べる内容である。魔人・加藤保憲、魔人に魅入られ狙われ続ける母子(由佳理・雪子)、由佳理の兄・辰宮洋一郎、由佳理を愛する幼なじみ・鳴滝純一といった前作でも登場したキャラクターに加え、辰宮洋一郎の元へ嫁いだ巫女、風水師、そして実在する寺田寅彦幸田露伴などが、緻密に絡み合う。特にラスト100ページでは、実に呪わしい事実が明らかにされる。戦慄のクライマックス、その衝撃に――震える!
本書も猛烈に必読!
ちなみに、辰宮洋一郎の元へ嫁いだ巫女・辰宮恵子に萌え。まさに菩薩。さすがに現実にはおらんやろなあ。