村上春樹・安西水丸『「これだけは、村上さんに言っておこう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける330の質問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?』

村上春樹はいわゆる「文壇」「論壇」的な世界とは明確に距離を置いているが、読者との直接的なやり取りは非常に重視している。期間限定の試みも含めると、ここまで(執拗にと言っていいほどに)読者とメールのやり取りをした作家は、おそらく他にはほとんどいないだろう。本書は、村上春樹と読者のメールのやり取りを収録したものだが、ユーモアに包まれながらも村上春樹の考え方やスタイルが見えてきて、非常に興味深かった。ちなみに今回の読者は、韓国と台湾も含まれており、村上春樹がワールドワイドな作家であることが再認識できる。
ちなみに以前(というか2冊目のインキュベ日記)『「そうだ、村上さんに聞いてみよう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける282の大疑問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?』という本を読んだことがあるが、装丁やタイトルが似ており、コンセプトも共通だと思う。この本と一緒に読むと、さらに本書の面白味が増すと思われるので、併読されたし。