山本直樹『学校』

学校―山本直樹短編集 (BiNGO COMICS)

学校―山本直樹短編集 (BiNGO COMICS)

美少女系エロ漫画として名高い山本直樹だが、俺が初めて購入した山本直樹の漫画が本書である。昔は、森山塔塔山森といった別名義も使いつつ、より直接的で、よりハードな、より変態的な、よりどうしようもなくグチャグチャなエロを描いていたようだ……が、山本直樹の昔の漫画のことは、実はあまりよく知らない。最近は(繊細で美しい女性&エログロかつどこかユーモラスな作風はそのままだが)ハードで直接的な性描写は減少し、現実と空想の境目を往還しアヤフヤになっていく非日常的な作風を先鋭化させている。俺は最近の作風の方が好きなのだが、本書は、時期的にも作風的にも、ちょうど両者の中間的なイメージになるような気もする(あまり詳しくないので間違っているかも)。
どこかの書評サイトにも載っていたが、山本直樹の異様なまでにテクニカルな構成力が遺憾なく発揮されており、はっきり言って巧すぎる。またPCのグラフィックソフトを駆使しなければ難しいような表現に果敢に挑戦していることも印象的だ。初めて読んだ山本直樹の本ということもあるが、俺の中での「エロ」が大幅に再定義された漫画である。
文藝春秋から出ており、俺は文藝春秋版を持っているのだが、つい先日、太田出版から再出版されたので、太田出版版の方が手に入れやすいだろう。そちらのAmazonのリンクも貼っておく。俺は文藝春秋版の表紙の方が好きなのだが、Amazonでは、文芸春秋版の表紙が載っていない。残念。
学校 (OHTA COMICS)
ちなみに山本直樹の漫画にはほとんど18禁マークが付いていない。しかもスタイリッシュな装丁なので、高校生の頃は買いやすくて嬉しかったが、以前から気にはなっていた。「有害図書」騒動時に山本直樹の『BLUE』が有害図書指定を受けたそうなのだが、そのあたりの騒動も関係しているのだろうか?