ゆうきまさみ『機動警察パトレイバー[文庫版]』9巻

機動警察パトレイバー (9) (小学館文庫)

機動警察パトレイバー (9) (小学館文庫)

第二小隊のパトレイバーと内海・バドのグリフォンの最終決戦に向け、いよいよ物語が動き始める。トリガーは、人身売買組織「パレット」を追って来日したNY市警の香貫花・クランシーである(アニメ版とは役割が違う)。彼女が持ち寄った「パレット」の少年少女の売買カタログの中に、以前ゲームセンターで出会った少年・バドによく似た少年を見つけるのである。この頃は誰も、グリフォンのパイロットがバドだとは想像すらしていないが、兎にも角にも、警察組織が内海&バド&グリフォンの尻尾を捉え始める。その中で、第二小隊の後藤喜一隊長は、グリフォンをもう一度おびき出すために暗躍を始める。
一方、寄せ集め的な国際企業のシャフト・エンタープライズは決して一枚岩ではなく、内海を良く思わない者達&内海を危険だと考える者達が、内海の封じ込めにかかる。当然、内海は雇い主のシャフトに牙をむくわけだが、実は内海の率いる企画七課の中にも、内海のことを思えばこそ、内海の企みを阻止しようとする者が現れる。シャフト・ジャパンだけでもこのような有様だが、シャフト韓国やシャフト中国、極東マネージャー、シャフト本体のSSS(シャフト・セキュリティ・サービス)なども独自の思惑を持って動いており、シャフトの中には、ライバルであるはずの篠原重工と手を組む動きも出始める。企業モノ・陰謀モノとしては、非常に面白い構図になっていると思う。