浅野いにお『ひかりのまち』

ひかりのまち (サンデーGXコミックス)

ひかりのまち (サンデーGXコミックス)

浅野いにおは、デビュー短編集『素晴らしい世界』でいきなり(個人的には確実に、世間的にもおそらく少しは)ブレイクし、最新作『ソラニン』では長編もこなすなど、青臭い青春漫画の書き手として、デビュー時から一貫してハイクオリティな漫画を描き続けている作家。
本作は、『素晴らしい世界』と『ソラニン』の間に出されている。新興住宅地を舞台としており、どうにも閉塞感が漂う中、そして救いもほとんどもたらされない中、それでも1人1人が必死に生きている姿を描いている。多少アイロニーに流れすぎているきらいはあるが、これこそが21世紀型の正統派青春漫画なのかもしれないと思わせる。